感染症対策の専門機関が必要

フランスと比べると対応にやや甘さが見える日本。新型コロナウイルス肺炎ではないかと症状を訴える人に対する国や自治体の対応の方針も一貫性に欠ける部分があり、その都度会議が開かれるものの、専門家との連携も十分とはいえず、「場当たり的」な対応になってしまっている。これまで、医師が「検査が必要」と判断した人に対し保健所が検査を断る、などの小さな混乱も生じている。

また、クルーズ船の中で感染者数が増え続けていることについて、当初は検疫前に感染していた人々とみなされていたが、検疫官や事務職員の感染が明らかとなり、マスク着用や手指消毒のルールが遵守されていなかったことから、検疫後も二次感染が続いていた可能性が示唆されている。

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専門家の間では、専門機関の不在が「場当たり的」対応の原因になっているのではないかという見方がある。「CDCがないので、日本では感染症に対する系統的な対応ができにくくなっています」と語るのは、神戸大学病院感染症内科の岩田健太郎教授だ。

CDC(Centers for Disease Control and Prevention:疾病管理予防センター)とは、アメリカで1946年に設立された、国民の健康と安全の保護を主導する立場にある連邦機関だ。感染症においても、専門的に調査・対策を担っている。アメリカでは、専門家集団が独立性を保ちつつ官民との緊密な連携を構築し、感染症対策に当たることが可能になっている。