年6万人が死ぬ…急に心臓が止まる「心臓性突然死」の怖すぎる実態

専門医が見てきた患者たち
沖重 薫 プロフィール

では、ショートQT症候群とはなんなのでしょうか。心臓には、どんな刺激にも反応しない「不応期」というのがある。一回収縮すると、その直後0コンマ何秒かは刺激に反応しない時間があるのです。この不応期が異常に短いのがショートQT症候群です。

不応期が短いということは、それだけ高い頻度の刺激に反応しやすいということ。収縮直後、まだ心臓に十分な血液が入っていない状態で再び収縮すると、心臓が空回りするようなもので十分な血液が拍出されません(心室性期外収縮)。Bさんの場合、心室性期外収縮(不整脈)が起こり、それが引き金となって心室細動が起きたと考えられます。

 

このとき、職場の人たちが心臓マッサージをやったことが非常に良かった。最初に触れたように、AEDを使わなければ心室細動を止めることはできません。ですが、近くにAEDがないときはAEDを使用できるまでに的確な心臓マッサージをすることで蘇生の可能性が高くなるし、脳の後遺症も抑えられます。

〔PHOTO〕iStock

下痢が遠因で心臓が止まることも

ちなみに、反対にQT延長症候群という疾患もあります。おおむね先天的な場合が多いのですが、状況によっては後天的に起こる場合もあります。この疾患は、先に述べたのとは反対にQT間隔が異常に長くなるのです。この場合も心室性期外収縮が引き金となり心室細動が起こります。QT延長症候群の方が短縮症候群よりも頻度的には多い。

私が過去に見たなかでは、71歳男性ですが、心室性期外収縮が現れたときに、胸に不快感があるというので「抗不整脈剤」を投与していました。この薬剤自体は危険性が高い部類の薬剤ではないのですが、この患者さんがある日突然当院の救命救急センターに心肺停止で搬送されるという危険な状態になったことがありました。

編集部からのお知らせ!

関連記事

ABJ mark

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標 (登録番号 第6091713号) です。 ABJマークについて、詳しくはこちらを御覧ください。https://aebs.or.jp/