年6万人が死ぬ…急に心臓が止まる「心臓性突然死」の怖すぎる実態

専門医が見てきた患者たち
沖重 薫 プロフィール

この心室細動を止めるには、直流電流を心臓に通電する「電気ショック治療」しかありません。具体的にはAED(自動体外式除細動器)などを使います。心臓マッサージや人工呼吸はあくまで補助的な手段。もちろん意味はありますが、心臓マッサージだけで心室細動という心室のけいれんを止めることはできないのです。

私はこれまで35年近く心臓専門医として働き、悲惨な心臓性突然死をたくさん目にしてきました。心臓性突然死とは実際どのようなものなのか? いくつか実例をご紹介していきましょう。

 

ケース1.就寝中に突然死

Aさんはもともと糖尿病と高血圧という持病がありました。50歳ごろ、寒い冬の日にバイクに乗っていたら急に胸が苦しくなった。「これはおかしい」ということで受診したところ、急性心筋梗塞を起こしていて緊急冠動脈カテーテル手術(PCI)を行ないました。

心筋梗塞というのは動脈硬化が進んで心臓の冠動脈が詰まる病気です。最悪の場合、その心臓性ショックで突然命を落としてしまいますが、Aさんのように胸に痛みを感じながらも自分の足で病院に行けることもあります。それでも、血液が供給されなくなった部分の心臓の筋肉は一部死んでしまう(壊死)。壊死した心筋は二度と再生しないので心臓全体のポンプ機能が落ちてしまいます。

手術後、Aさんは8年ほど通院しながら薬物治療を続けていたのですが、50代終わりのある日、自宅で就寝中に心肺停止を起こしました。当時は成人していたお嬢さん2人と奥さんとの4人暮らし。Aさんが目を覚まさないので家族が救急車を呼んで病院に運ばれましたが、Aさんが再び目を開けることはありませんでした。

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