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年6万人が死ぬ…急に心臓が止まる「心臓性突然死」の怖すぎる実態

専門医が見てきた患者たち

昨日まで元気に働いていた人の心臓が、突然何の前触れもなく止まってしまう――。「心臓性突然死」は決してまれなことではなく、日本でも年間6万人が命を落としているという。

恐ろしい心臓性突然死はどのように起こるのか? 35年近く第一線の心臓専門医として多くの患者を診てきた横浜みなと心臓クリニックの沖重薫院長が、これまでに直接見聞きした心臓性突然死の実例を語る。

(取材/文・伊藤和弘)

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何の前ぶれもなく、突然命を奪われる

特に大きな持病があったわけでもないのに、元気に暮らしていた働き盛りの人の心臓が突然止まってしまう。日本循環器学会調査によると、「心臓性突然死」によって年間約6万人もの人が亡くなっています。

がんのように死に至る病気はたくさんありますが、多くの場合、本人が死を覚悟し、いわゆる“終活”を行なうことができます。ところが心臓性突然死はまさに青天のへきれき。突然交通事故に遭ったようなもので、終活をやるヒマもありません。本人や遺された家族にとって、これほど衝撃的で無念な死も少ないでしょう。

 

心臓性突然死の90%以上は「心室細動」という重篤な不整脈が突然起こることが原因です。心室細動とは、血液を全身に送り出すポンプの働きをする心室が収縮せずにけいれんを起こすこと。

これは「心停止」のひとつで、心臓が血液を全く拍出できなくなります。1分続くごとに10%死亡率が上がると言われ、10分放置されると、まず助かりません。血流が途絶えることで重要臓器の中でも最も酸素不足に弱い脳が真っ先にやられてしまうのです。