22歳のときにドイツに移住、そこで就職の壁にぶち当たりながらも、現在ドイツ人のパートナーと結婚し、暮らしている雨宮紫苑さん。海外に暮らして見えてきたことなどを寄稿いただいている雨宮さんだが、「海外在住」ということで起こるさまざまな誤解について執筆したコラムの第3回目は、「日本女性が海外でモテる」真相について分析します。
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日本人女性は本当に海外で「モテる」のか
前回、前々回にわたり、「海外在住者に対してよくある誤解とそれに対する弁明」を書かせていただいた。
でも実は、前回の記事からカットした部分がある。それが、「海外在住の日本人女性はみんな同じ見た目になる」というイメージについてのくだりだ。これに関しては改めて書きたかったので、こうして別記事にさせていただいた。
というわけで、今回の記事では、「海外在住女性はなぜみんな黒髪ワンレンロングになるのか」「日本人女性は海外で本当にモテるのか」「海外に住むと女性がやたらジェンダー問題に敏感になるのはなぜか」の3本立てでいきたい。
海外在住日本女性の多くが黒髪の理由
「海外在住の女性」というと、8対2で分けた黒髪セミロング〜ロングの無造作ヘア、いわゆるワンレンロングのイメージが強いのではないだろうか。事実、わたしも長いことそんなヘアスタイルをしている。
そんな髪型の海外在住女性に対し、「海外に行くと女はみんな外人ウケを狙って髪を黒くする」「典型的って感じ(笑)」なんて言う人がいるが、これにはワケがある。それは、現地の美容院事情だ。
ドイツの美容院はあまり信用ならない。というより、こちらの人々と日本人(わたしの髪)では髪質がちがうし、顔のつくりからして似合う髪型もちがうので、なかなかこちらが求める髪型にしてもらえない。
近くに日系美容院があるとはかぎらないし、あったとしても現地の美容院よりもかなり高い。だから必然的に放置……黒髪ロングという無造作ヘアになってしまう。
ヘアカラーリング剤はドイツでも売っているが、海外で自力染髪をためらう人は多いし、見た目をとやかく言ってくる人も少ないので、「まぁプリンでもいいか」と放置した結果黒髪になっていく。
男に好かれたいだとか現地でモテるからだとか、そんな理由ではない。単純に、美容院に行かない、行けないだけだ。黒髪にするだけでモテるほど、世の中チョロくない。