海外観光客の「検査費」は

ちなみに、いま私が恐れている新型コロナウイルスの影響は、別のところにもあります。もちろんこの疾患が国内に蔓延すれば日本は麻痺してしまう、多くの方の健康が損なわれ、命を奪われる方もいるかもしれない、そのことがなにより心配ではあります。しかし、それとは別に気になるのは、海外観光客が大量に日本の医療を受ける医療費についてです。

日本の医療は素晴らしいからと検査や治療を受け、帰国してから支払うといいながら支払わない問題もこちらの記事でも指摘されていました。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/56050

この問題については、私も日々治療にあたっていて疑問に思うことでした。
海外の方の場合、①観光客で保険に加入している方②観光客で保険に加入していない方③3カ月以上の在留資格で日本の医療保険に加入している方 に分かれます。

通常①と②のパターンがほとんどだと思うのですが、それでも帰国時に「お金がないから帰国したら払う」といってそのままになってしまうこともあります。

今回のコロナウイルスの場合は、政府が検査対象者としている場合の検査費が無料となります。日本政府は早い段階で今回の新型コロナ感染症を「指定感染症」としました。これによって、この感染症にかかった方を強制的に入院させることができるようになり、その治療にかかった医療費は無料ということになっています。新型コロナウイルスが陽性になった方々については、厚労省はHPで感染した方々についてひとりひとり「経過観察中」と公表しています。この治療費も無料となるでしょう。

無料というのは「請求する金額が無料」であって、医療従事者の人件費、検査費用、治療費用を「税金で支払う」という意味です。これからもしまだ日本にいる海外からの感染者が増えた場合は、それはすべて日本の税金として支払われることになるのです。

お金だけではありません。医療資源にも限りはあります。緊急事態で国を超えた協力体制も必要かもしれませんが、これから日本人の感染者が増加することも考えると続々入国する観光客患者を制限なく受け入れ続けることは難しいのではないかと、政府の対策にも疑問を感じます。

外国から「日本医療を受けに来る」人たち

海外から「日本医療を受けに来る方々」については、以前から「日本の医療保険適用の枠が広すぎるのではないか」と思ってきました。診察していて、日本の医療保険をお持ちだけれど日本語がほとんど話せない方々にも多くお会いしてきました。そんなに体調が悪くないのに、検査を受けたがったり、複数の医療機関を受診しその度に同じ検査を繰り返して受けていたりする患者さんもいました。また、ある国から来たばかりの糖尿病の患者さんは、「母国では慢性疾患の薬は自費だったから安い薬にしていたが、日本に来たら保険がきくから高い薬をなんでも出してくれ」と言っていました。

このようにしてすでに日本の医療費は海外の方にも多く利用されている背景も忘れてはなりません。

診察していると、日本の医療保険を持っていても様々な外国籍の人が……Photo by iStock

コロナウイルスについては、今はとにかく冷静かつ慎重(自分の身を守るために慎重に行動するという意味です)に対応し、接触経歴や症状があれば受診する、それ以外にありません。ただ、これを機に医療費についての問題も見つめ直す必要があるのではないでしょうか。