インフルエンザ検査のように簡単ではない

今回のコロナウイルスの検査は患者さんの咽頭の粘液や喀痰などを採取し、ウイルスの核酸を増幅、特定の塩基配列が検出されるかを観察するPCR法を用いています。臨床現場では、結核やマイコプラズマ、B型肝炎、C型肝炎などの診療の際にこの検査法が用いられています。

ウイルスに対して体内で作られた抗体を測る検査もありますが、体内で抗体を作るには数週間かかるため、あとからしかわかりません。その点このPCR検査はいわば遺伝子そのものの有無を確認するため、今現在感染しているかがみられるので今回のような場合にはとても有用です。

ただ結果が出るのに時間がかかります。

このPCR法は、インフルエンザの簡易キットのようなわけにはいかず、手順が複雑です。技術を持った人が手作業で行う必要があり、結果が出るまでに全工程で6時間ほどかかるものです。従って、「心配だから念のため」といって簡単にできるものではないことは知っておくべきです。

ちなみに、ご自身の院内感染を避けるためにも、むやみに病院に駆け込むことはお勧めしません。ただ、高熱があって、咳も出て、市販薬や解熱剤でもよくならないのであれば、まず病院でインフルエンザの検査をした方がいいでしょう(本来ならば自宅でできるインフルエンザ検査の簡易キットがあるといいなと思います)。また、市販薬でもどうにも熱が下がらない、呼吸が苦しい、倦怠感がすごいということであれば、コロナウイルスについての相談を厚労省のホットラインに問い合わせると良いのではないでしょうか。

編集部追記:17日に加藤勝信厚労相が行った会見によると、厚生省が制定した「医療機関受診の目安」は以下の通り。

1)風邪の症状や37.5度以上の発熱が4日以上続く人(解熱剤を飲み続けないとならない場合も含む)

2)強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある人

ただし、○高齢者○糖尿病・心不全・呼吸器疾患(COPDなど)の基礎疾患がある人や透析を受けている人○免疫抑制剤や抗がん剤などを用いている人 は、症状が2日続いたらセンターに相談を
簡単に誰でもできる検査ではない Photo by iStock

検査の適応は当初よりも緩和され、都道府県にもよるようですが、医師が必要と判断した場合には保健所に連絡した後に検査を受けられ、その費用は不要ということになっています。

ただ、前述しましたように、国民がパニックになり、「ちょっとだるい、検査に行こう」「前回は陰性だったが今回こそ罹ったかもしれない、また検査してもらおう」と不安解消のための検査希望の方が病院に殺到したら、病院はパンクします。私は「湖北省しばり」や「地方自治体に丸投げ」ではなく、医療機関を受診する「妥当な」目安を(政治家に忖度しない)専門家の意見を取り入れて日本国政府から明確に示してほしいと思っています。