話題沸騰『映像研には手を出すな!』にみる「NHKとアニメの関係」

異例の夕方一挙再放送、人気の理由とは
小新井 涼 プロフィール

ネット時代との相性のよさ

NHKには、2017年からアニメ関連の情報をとても丁寧かつ頻繁に発信しているSNSのアカウント(NHKアニメ)があります。

このアカウントが実はアニメ好きにはとてもありがたい存在でして、アニメの放送が多いEテレだけでなく、総合テレビやBSプレミアム、NHKラジオへの声優の方々の出演情報や、『忍たま乱太郎』や『おじゃる丸』といったリピート放送も多い番組の新シリーズ開始のお知らせをきめ細やかに発信してくれています。

またこのアカウントのうまいところが、それらに加えて、タイムリーな話題に合わせたアニメ関連のツイートや、作品好きに刺さるコメントを添えたツイートなど、アニメファンであればあるほど反応してしまうような、先の“お堅い”イメージとはかけ離れたかなり柔らかい投稿もしているのです。

こうしたネット時代のアニメファンに対応したSNSの運営状況をみるに、恐らく『映像研』がネットで話題になっていることは、放送後早い段階で認識していたと考えられます。

 

そうしてネット上でのアニメファンからの反応を素早く察知したことはもちろん、そこから夕方の一挙再放送実施へのスピーディな対応ができたのは、スポンサーがいないNHK特有の放送形態もポイントとなったのではないでしょうか。

アニメではありませんが、以前にも、総合テレビの番組「プロフェッショナル 仕事の流儀」で声優の神谷浩史氏が特集された際、あまりの反響ぶりに番組側が素早く編成局へ打診をし、実際に再放送が決定されたことがありました。

このように、放送直後に生じたネットでの反響を受けて、急遽再放送を打診・実施すると言うことは、放送枠へのスポンサーの存在も大きい他の民放キー局ではなかなか難しいことだと思います。

公共放送ゆえのお堅いイメージもあるために、一見アニメやネットの文化とは縁遠く見えてしまうNHKではありますが、こうしたSNSの積極的な活用やネットのスピードに迅速かつ柔軟に対応できる環境をみると、むしろ配信が力をつけ、テレビ局とアニメ、アニメファンとの関係性に変化が生じているネット時代においては、アニメとの相性がとても良いテレビ局といえるのかもしれません。

今回の『映像研』の盛り上がりを通してみえてくるのは、そんなアニメとNHKとの、ネット時代における意外な関係性なのではないかと自分は考えています。