話題沸騰『映像研には手を出すな!』にみる「NHKとアニメの関係」

異例の夕方一挙再放送、人気の理由とは
小新井 涼 プロフィール

わくわくするアニメーションの楽しさ

そしてもうひとつ、本作が与えてくれる“わくわく”は、アニメ化された『映像研』が持つアニメーションの楽しさに依るものだと思います。

こちらのトレーラーをみてみると、よくアニメファンの間で画(え)が綺麗と言われる「京都アニメーション」の作品や、迫力のアクションシーンが評判のアニメ『鬼滅の刃』の映像とはまた違ったベクトルで目が惹かれる、不思議な吸引力を感じませんでしょうか。その秘密は、本作のアニメを制作するクリエイター陣にあります。

アニメ『映像研』の監督は、かつて『ちびまる子ちゃん』や『クレヨンしんちゃん』の制作にも参加し、近年は『ピンポン THE ANIMATION』や『夜は短し歩けよ乙女』、『DEVILMAN crybaby』などを手掛け、世界的にも有名なクリエイター・湯浅政明氏です。アニメーション制作会社は、監督である湯浅氏が設立した「サイエンスSARU」が担当しています。

 

この湯浅監督と「サイエンスSARU」は、アニメーション制作を通してまさに「絵(画)が動くことの面白さ」を追求しているチームです。

そんな方々が作るアニメーションには、独特の外連味や緩急を備えた日本アニメ的な動きと、Flash(現:Adobe Animate CC)を用いたカートゥーン的な動きがほどよく共存した気持ちよさがあるのが特徴だと思います。

……と、言葉で説明すると少々理屈っぽくなってしまうのですが、要はシンプルに“みているだけでわくわくしてしまう”アニメーションの根源的な楽しさがある映像なのです。

そこに加えて、時にビビッドな彩色や軽快なセリフ回し、ラフに描かれた想像上の世界の表現、エキゾチックな劇伴など……アニメならではの要素がユニークな動きの面白さを魅力的に彩り、トレーラーでご覧いただいた通り、目が離せない不思議な吸引力を生み出します。

『映像研』が多くの人を魅了しているのは、目の肥えたアニメファンはもちろん、そうした専門的な見方や理屈が分からずとも伝わってくる、 “みているだけでわくわくしてしまう”アニメーションの根源的な楽しさがあるからではないでしょうか。