本作が与えてくれる“ドキドキ”は、原作が持っている作品の設定によるものではないでしょうか。
もちろん主題であるアニメーション制作や、それに関連する“お仕事もの”のような一面も、本作の魅力のひとつです。
しかし、そこに興味がない人まで強く共感でき、思わず作品に惹きこまれてしまうのは、どちらかというとそんな主題のさらに根幹にある、アニメーション制作に“夢中で取り組む主人公たちの姿”だと思います。
何かすごいものに触れて感動し、自分もやってみたいと思いを馳せ、試行錯誤しながらも実行して、それが段々と実現されていく……。
そうして憧れ、思い描いていたことが具現化されていく過程の熱さや興奮というのは、アニメーション制作に限らず、スポーツや秘密基地作り、海外旅行やYouTubeの動画制作など、内容やジャンルは違えども多くの人に経験があり、共感しやすい感覚だと思います。
アニメーション制作という主軸はありながらも、そうした多くの人が共感できる “ドキドキ”が、「最強の世界」作りの過程を通して、個性的な登場人物たちの痛快な言動と共に気持ちよく描かれているのがこの『映像研』です。
本作が漫画ファンやアニメファンに限らず幅広い層を夢中にさせているのは、そんな普遍的なドキドキを呼び起こす原作の設定があるからではないでしょうか。