「バカになっちゃった方が幸せ?」退職後に幸福になれる方法とは

前野先生と「幸福」について考える
前野 隆司, 石井 徹 プロフィール

地域活動、趣味、ボランティアなどを50歳頃から始める

石井:ショーペンハウアーは著書『幸福論』のなかで「誰もが結局は独りであり、いま独りである自分はどんな人間なのかが問題である。」と言っています。わざわざこのような言葉を残す、それが後世にも語り継がれるということは、大昔から人が孤独に弱いということに他なりません

まんが学術文庫『幸福について』

前野先生孤独だと死亡リスクが高まるというデータがあります。高齢者の研究ですけれど、テレビの視聴時間と死亡率に比例関係があるんです。もちろんテレビを見てもいいんだけど、ひとりで家にこもって見るのはよくないですね。何か主体的な活動をした方がいい

石井:そうは言っても、都会に住んでいるとご近所付き合いも自然と希薄になります。特に私みたいな会社人間は、仕事という括りがなくなると途端に人と関わる機会がなくなる。そういう人は多いと思いますが…。

前野先生:多いですね。お薦めは、地域活動趣味ボランティアです。そういった活動を50歳ぐらいから始めるといいですよ。退職後に「さあやろう」と思っても見つからない人が結構いますからね。テレビばかり見ている人は幸福度が低いというデータもあります。

 

石井:テレビばかり見ている人、私ですね。仕事以外にやりたいこともないですし…。

前野先生:会社員時代にご活躍された方であれば、講演会をされるのもいいのではないでしょうか。編集をされてきたノウハウをみんなに話す会とか、 本を書きたい人を指導する会とか。 ボランティアで行ったら楽しいと思いますよ。僕はいつも言っているんですが、利他的であると幸福度が上がります「誰かのために」という行動が、実は自分を満たしてくれる

石井:そういえば最近、講演会や勉強会のお知らせをよく見ますね。区民センターみたいな場所でやっているイメージです。ああいうのに行くのはどんな人なんだろうと思っています。

前野先生最近は、地域との接点づくりを後押ししている自治体が増えているようです。僕が以前ご協力したところですと、埼玉県の「地域デビュー楽しみ隊*」は珍しい取り組みですね。地域活動の魅力や、始めるまでのノウハウを県民目線で伝道するためのチームで、隊員は県内自治体のセミナーやイベントで活躍しているそうです。こういう人に会ってみると、新しい情報を得られそうですよ。

埼玉共助スタイル「地域デビュー楽しみ隊」より
*注釈「地域デビュー楽しみ隊」は、アクティブシニア(元気な高齢者)の地域デビューを後押しするために結成。総監督には、川越市出身の俳優、市村正親さん。隊長には、秩父市出身の落語家、林家たい平さんが就任。公募などで集まった県民の隊員29人で構成されている。