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「バカになっちゃった方が幸せ?」退職後に幸福になれる方法とは

前野先生と「幸福」について考える
退職を終えた人たちは幸福になれるのか?

仕事以外にやりたいこともない、老後に幸せになれるなんて考えられない... と思っている講談社「まんが学術文庫」編集長の石井が、『幸せのメカニズム』著者で慶應義塾大学教授の前野隆司先生に疑問をぶつけます。
老後の人生を幸福なものにするためには、どのようなことが必要なのでしょうか?

退職後のシニアは幸福になれるか?

石井:まだ現役世代なら社会と濃密な接点があるから、嫌なことも良いことも前向きに捉えることができる。でも、「シニア」と呼ばれる世代ですね。厚生年金はどんどん少なくなってお金もない、やることがないからテレビばかり見ているような世代です。そんな退職を終えた後の人たちが幸福になれるか僕は難しいのではないかと思っています

 

前野先生:統計的には、なれます。私がやっているのは哲学ではなく、統計的な調査結果なんですが、年齢と幸せのグラフを書くと定年後ぐっと上がることが分かっています。U字曲線を描くと言えば分かりやすいでしょうか。私の調査では、生まれた時が幸せで、そこからだんだん幸せ度が低くなり、40代あたりで底辺になります。でも、また上がり出すんですよ

石井:具体的に何歳ぐらいから「幸せ」だと言える人が増えるのでしょう?

前野先生:私の調査では、40代がもっとも幸せ度が少なく、それを過ぎればどんどん上がって60歳を超えると幸せになる人が多いようです。たしかに60歳頃になると社会との繋がりは希薄になりがちですけど、逆に仕事のストレスからは解放されるわけです。つまり、仕事のストレスがものすごく大きいのだと分析しています

石井:私はそろそろ定年という年齢なんですが、自分が幸せとは思えないですね。先生の調査によればここから幸せになるということでしょうか。信じられないなあ。

前野先生:もちろん、平均値ですので不幸な人もいますよ。身近な例になってしまいますが、うちの父母や妻の父母も「今がいちばん幸せ」と言っています。統計を見ても大多数が老後に幸福度が上がります。あとは記憶力がいい人よりも悪い人の方が幸せになるという統計もあります。歳をとると覚えが悪くなりますから、結果幸せになれます。