女性が8割、でも管理職は男性

転職先のLVMHは、とにかく働きやすかった。男女比率は一転して女性が8割。子育て中の方も多く、みんなほぼ定時に仕事を終え、プライベートの時間を楽しんでいた。

会計士時代との決定的な違いは、定時後に自由に予定を入れられたことだ。ある日私が早い時間に飲み会の予定を入れてしまい、「飲み会があるので定時前に帰ってもいいですか?」と、会計士時代の上司に聞いたら殺されるであろう質問をしたときも、「いいわよ! 20代のときの飲み会は仕事より大事だから!」と快く送り出してくれた。今振り返っても、こんなホワイトな会社、他にないんじゃないかと思う。

しかし、もともと私は仕事が好きなので、やっぱりもっとバリバリ働きたいと思うようになった。LVMHは女性が8割とはいえ、役員はほとんど男性であることを知り、キャリアアップの可能性があまり見えなくなってしまったことも影響していた。

会計士時代、同僚たちと。確かに周りも管理職も男性ばかりだった。しかし、女性が多い会社でも、管理職は男性ばかりということに気づいた 写真提供/井口恵

再び人生に迷走し始めた私だったが、最初の転機とは明らかに違う点があった。連日の飲み会が功を奏し、人脈が広がっていたことだ。知り合った方の中には、女性の経営者もいた。自分で会社を経営し、当時会社員だった私の何倍も稼ぎながら、自由に子育てをされている姿は、私にとって理想的だった。

私もいつか子供ができたら、子供と一緒に過ごす時間が欲しい。母ほど常に一緒にいるのは厳しいが、必要なときは日中もそばにいてあげたい。そのためにいつどこで働くか、どれだけ働くか、自分で決められる自由が欲しい

そんな想いが日に日に強くなり、私は起業する決意をした。どうせ起業するなら私みたいにモヤモヤしている女性に、自分らしく生きる選択肢を提供できるような仕事がしたい。そんな想いから2016年にLVMHを退職し、株式会社Kanattaを立ち上げた。最初は男性が8~9割のドローン業界に注目し、ドローンの魅力を発信する女性のチーム、「ドローンジョプラス」を発足した。2017年からはより幅広く女性を支援するため、クラウドファンディングや女子会「kanatta salon」を展開している。