小泉進次郎環境大臣の育児休職をきっかけに、様々な意見が噴出している。大切なのは、ともに子どもを作った夫婦の「当事者意識」だと思うのだが、「当事者」としても関わり方はそれぞれの夫婦によって変わっても来るだろう。夫が家計を支え、妻が子育てと家庭を守ることに集中する家庭もあれば、逆もある。もちろん共働きの家庭もある。大切なのはそれぞれの家庭によって話し合い、決断すること。そして、一方的に誰かに負担を強いないことなのではないだろうか。

ドローンの操縦を身に着ける「ドローンジョプラス」などで知られるKanattaという会社を起業した井口恵さんは、「ザ・専業主婦」の母親のもと、とても幸せな子ども時代をすごしてきたという。しかし井口さんは学生時代に会計士の資格を取って監査法人に就職、その後転職ののちに起業している。むしろ、母親とは真逆の生活をしている。それはなぜなのか。井口さんご本人に寄稿してもらった。

もう1回赤ちゃんから育てたい

「お母さんは、お姉ちゃんが急に赤ちゃんに戻ったらどうする?」
「赤ちゃんのときのめぐにまた会えるってこと?」
「そう。産まれたときに戻るってこと。」
「めっちゃ嬉しい! だってもう一回めぐちゃんを育てられるってことやろ?」

何年か前の母と弟とのやり取りだ。どういう流れでこのような会話になったかは覚えていないが、母の返答が衝撃的すぎて、鮮明に記憶に残っている。

「せっかくここまで育てたのに?」
「今まで色々あったで?」

横で聞いていた私はいろんな想いを巡らせていたが、母が心から嬉しいと言ってるのが伝わってきて、ただただ驚いていた。ちなみにこの文章を書きながら、「また育て直すのはやっぱり大変じゃない?」と母に再度LINEで聞いてみたところ、「大変じゃない。嬉しい」と即レスしてきた。

もう一回ここから始めたい! と簡単に言えるかどうか? Photo by iStock

特技と趣味が「子育て」

私の母は専業主婦。
三人姉弟の末っ子の弟が大学に入学するまで、パートもしていなかった。

そんな母に特技を聞くと、答えは「子育て」。趣味も「子育て」。毎日家事に勤しみ、全力で子どもたちに愛情を注いでくれた母のことを、私は心から尊敬している。母は毎日三人姉弟のお弁当を作り、晩ご飯のメニューもリクエストしたら喜んで作ってくれた。特に長期休暇明けに私たちの学校の授業が再開するたびに、「一緒にいる時間が減って寂しい」と言っている母を見て、本当に私たちのことが大好きなんだなと感じていた。

でも、幼い時からずっと思っていたことがある。

「私はお母さんのようにはなれない」

一方、母もいつも言っていた。
「なんでお母さんからあんたみたいな子が産まれたんやろ?」

私もそう思う。母と私は、考え方も生き方も真逆なのだ。