韓国・日本の10代が使ってる「日韓ミックス言語」を知ってますか

「チンチャそれな」「やばいンデ」?
稲川 右樹 プロフィール

韓国でも使われている

さて、このような新しい日韓ピジンが生み出されているのは日本だけではない。韓国の若者の間でも日本語と韓国語が融合した言葉が数多く使用され「韓本語ハンボノ」と呼ばれている。

そもそも韓国は日韓ピジンに関しては日本よりもずっと先輩である。日本による統治時代、日本語は「国語」とされ、社会的な成功のためにはその習得が必須とされた。また、多くの新しい文物が日本を経由して朝鮮にもたらされた。

その過程で、「タマネギ」「テナオシ(手直し)」「カンジョ(勘定)」「クルマ(リアカー)」「タックワン(沢庵)」「シマイ(終わり)」など多くの日本語の語彙が朝鮮語の中に取り込まれた。それらは、戦後もスラングとして韓国人の日常会話の中に広く居座り続けたが、「日帝残滓」の象徴と見なされ「国語醇化運動」の対象として徐々に他の韓国語に置き換えられていった。

 

しかし近年の韓本語は既存の「日帝残滓」の日韓ピジンとは根本的にそのルーツを異にする。それは外圧によってもたらされたものではなく、韓国の内部から自発的に生まれたものだからである。

日本の日韓ピジン語が韓流に端を発するのと同様に、韓本語も日本の大衆文化の影響を抜きにしては語れない。日本からの解放後、韓国において日本の文化、ことに流行歌謡や映画などの大衆文化は(少なくとも表向きには)長らく禁止されてきた。しかし、金大中が政権についた1998年以降は徐々に開放されていく。これは、韓国が近代化に成功し、経済的にも文化的にも自信をつけたことを背景としたものだ。

その結果、日本ドラマやアニメなど多種多様な大衆文化が韓国に流れ込むようになり、韓国の若者たちの間に着実に浸透していった。また、アジアの国々の中でもいち早くネット先進国として高速インターネットの普及を成し遂げていた韓国の若者たちは、合法不法の如何を問わず様々なルートを通じて日本の大衆文化を貪欲に消費した。その結果多くの若者が「生きた日本語」に触れ、そのいくつかは韓本語として韓国語の中に取り込まれた。