韓国・日本の10代が使ってる「日韓ミックス言語」を知ってますか

「チンチャそれな」「やばいンデ」?
稲川 右樹 プロフィール

さらに、韓国からの訪日客が増えたことで街角で韓国語を耳にすることも多くなった。駅や観光地の案内表示にアルファベットや漢字に混じってハングルが表記されているのもすっかり日常の光景だ。韓国語は日本人にとってもはや謎の言語ではなく、すぐ隣にある身近な言語になったのである。

それと呼応するように韓国語学習者の数は激増している。全国の紀伊國屋書店で、2019年度の英語を除いた外国語学習書の売り上げランキングを見ると、韓国語が堂々の1位であり、しかも2位の中国語の倍以上売れているというから驚きだ。

特に若い世代の間の韓国語熱の高まりには目を見張るものがあり、2019年には韓国語能力試験(TOPIK)の日本における受験者のうち10代が占める割合が30%を占めた。10年前には1%に満たなかったことを考えると信じられないような現象だ。私の勤務校でも韓国語専攻希望の学生数は年々増加傾向にある。

20年前と大きく形を変えた新大久保〔PHOTO〕Gettyimages
 

実は昔から日本にあった日韓ピジン

このような背景のもと「チンチャそれな」「やばいンデ」は生み出され、受け入れられた。今のところまだK-POP好きや韓国好きの層を中心としたムーブメントにすぎないが、今後さらなる日韓ピジンが生み出され、広く市民権を獲得する可能性もある。

特に私が注目しているのは「やばいンデ」の登場である。これは「うれしいンデ」「さむいンデ」など、日本語のあらゆる形容詞に応用可能であり、単なる語彙の借用の範疇を超えて文法化している点が興味深い。

もっとも日本語と韓国語は文法的な親和性が高く、このような文法化したピジン現象は今に始まったことではない。

在日コリアンコミュニティで使用されるいわゆる「在日語」では「汁にご飯などを入れる」という意味の「マルダ(말다)」の活用形である「マラ(말아)」を使った「ご飯マラして(汁に入れて)食べなさい」という構文が使われたり、在韓日本人コミュニティでは「後で行くからチャリ(자리:席)、チャバ(잡아:取)っといて」「何かペダル(배달:配達)シキョ(시켜:注文す)る?→何か出前取る?」のように、独特の文法を持つ日韓ピジンが使用されているが、いずれも閉じたコミュニティでのみ通用する社会的方言の域を出ていなかった。

しかし、「やばいンデ」は日常的に韓国語に触れる必要のない環境にいる若者たちの間にも広がりつつあるという点が新しい。