ほとんど人通りのない武漢の市街地〔PHOTO〕Gettyimages

新型コロナ騒動、封鎖された街に帰れず「漂流する」人々の苦しみ

中国・新型肺炎「現場」の今【後編】

湖北省武漢市が1月23日に封鎖され、外部から遮断されて3週間。武漢の街、湖北省、そしてそこに暮らす人々は現在、どのような状況にあるのか。中国の報道をもとに、ふるまいよしこ氏がレポートする。

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閑散とした武漢の街〔PHOTO〕Gettyimages

高速道路で漂流するトラック運転手

苦しんでいるのは、封鎖された街に閉じ込められた人ばかりではない。帰るに帰れなくなった上、見知らぬ土地で湖北省から来たことを理由に追い立てられ、行き場を失い、「漂流」している人たちも少なくない。

「もうくたくた。停めちゃいけないってわかってるけど、ここで一寝入りするしかなかったんです」

高速道路の路肩にトラックを停めていた肖紅兵さん(仮名・以下すべて同じ)は交通警官に尋問されて、こう言って泣き出した。

湖北省天門市出身の肖さんは昨年12月に湖北省から荷物を載せて各地を廻り、最後に福建省福州市に最後の荷物を配達して春節前に家に帰るつもりでいた。だが、そこで「年末で運んでくれる車がない」と四川省までの配達を頼まれる。荷主は配送代の2000元(約3万2000円)に200元(約3200円)を上乗せしてくれた。

 

家には今年中学に上がる息子がいて少しでもお金を稼ぎたかった。なので、妻に電話して春節前には家に帰れない、と伝えた。出発前、荷主が「レッドブル」を2本と手袋を1セット、そして使い捨てマスクを20〜30個くれた。レッドブルはわかる。手袋も使えるだろう。でも、なんでマスク? わけが分からなかったが、そのとき新型肺炎のことをまったく知らなかった肖さんは黙って受け取り出発した。