槇原敬之さん逮捕で露呈…劣化する「マスコミの罪」

「ダメ。ゼッタイ」ではダメ!
田中 紀子 プロフィール

人はなぜ、最初の1回に手を出すのか?

薬物事犯が追いつめられてしまうのは「そもそも違法であるものに手を出した」という最初の1回を自業自得と世間の人が思うからである。

しかし本当の解決策は違法のものと分かっていながら手を出さざるを得ないほど追いつめられた人に想いを寄せることにあるのではないだろうか。

・良いとは思っていないが薬物を勧めてくるコミュニティにしか居場所がない人
・薬物を使ってでも忘れたい、虐待や性暴力被害やトラウマのある人
・最初の1回を騙されて使ってしまった人
・違法薬物を使ってでも仕事を乗り切るしかない!と追いつめられた人
・親が薬物依存の家庭や、薬物が身近にある環境に生まれ育った人

などなど、人には最初の1回に手を出してしまう理由がある。

 

こう言うと「どんな境遇でも手を出さずに頑張っている人はいる!」とまた反論してくる人がいるが、だとしたら頑張れるポテンシャルに生まれたことに感謝すれば良いだけで、頑張れなかった人を貶める必要はない。そもそも人はそれぞれ個体差があるし、出会う人で人生は簡単に変わってしまうのだ。

例えば私の場合だが、父親はギャンブルによる横領犯で、母は幼い頃離婚して早々に実家に戻った。

しかし実家の祖父もギャンブル依存症だったので、境遇はあまり変わらず、あまりに貧しく私の存在は「金がかかる!」と文句を言われて育った。

家庭に居場所はなかったが、たまたま性格が社交的で身体が丈夫だったので、高校時代からがむしゃらに働くことができ、なんとか生き延びられた。しかし自尊心や自己肯定感が低いので、たびたび人生の壁にぶつかり乗り越え方がわからなかった。

そして一度目の離婚を経験したときに、ばっちりとハマってしまったのがギャンブルだった。その時、もし薬物を持っている人が「1回だけなら大丈夫だよ!嫌なこと忘れられるし、寝ずに働けるよ!」と近づいてくれば薬物にハマっただろうし、もし酒好きだったらお酒にいったかもしれない。

弱っているときに何かにすがりついたとしても責められないし、生き延びればまたやり直すことはできるのだ。

大切なのは、やり直しが効きやすい早期に、沼にハマってしまった人を助け出すことである。そのためには社会全体で薬物問題を抱える人の理解を深めることが必要ではないだろうか。