10年も経たずに1.5倍以上の市場価値に

そして、これは想定外だったが、32歳で清水の舞台から飛び降りる覚悟で買ったタワマンは、その後10年も経たないうちに1.5倍以上の市場価値となった。不動産のような「実物資産」の価値が比較的短期間で急上昇した場合、「基本的には売却」が教科書的に正しい行動だと思うが、いまだに売却していない。

その後、私は再婚し、娘も高校生になりボストンへ旅立ち、結果として私たち親子にとって数年間を過ごした家でしかなくなってしまったが、今でも売る気にはなれずにいる。それはきっとシングルマザーだった若い頃に、私に人生の時間と気持ちの余裕を与えてくれたのがあのマンションであり、私の当時の人生を支えてくれたお守りのような存在でもあったからだと思う。

不動産価値が今後どうなるかについては、私も予想などできないし、何が起こるか想像もつかない。買った途端に1989年の不動産バブル崩壊のような惨事に見舞われることもあり得るだろう。しかし、超長期のスパンで不動産市場を見てみるとほとんどの先進国及び多くの新興国で不動産価値は大幅に上昇しているのが分かる。35年も遡れば、英国や米国、オーストラリアのように何倍にもなっている国もある。
(海外景気の動向・政策分析2014, 内閣府参照)。東京も1989年のバブル崩壊後、リーマンショックを乗り越え、ここ数年は力強い伸びを記録している。

カールマルクスの資本論にあるように、世の中が資本主義である以上、最終的に儲かるのは株主であり、資産家だとすると超長期の不動産投資は経済的な視点からも正しいと言える。

そのためにも、3つのポイント、①価値を保てる物件か ②賃貸に出して入りやすい物件か ③自分が住んでもいいと思えるか これが私が重視した3つの条件だった。

家を買う理由は人それぞれだし、上場株を買うのとは違うドラマがある。私は35年という人生のドラマ付きの自宅投資は経済的にも精神的にも若い女性にこそチャレンジして欲しいものだと思っている。

家を買うことは投資でもあり、自分の居場所の確保でもある。自分がどう生きたいのかを冷静にみて、自分たちなりの幸せを考えることにつながる Photo by iStock
※1 団体信用生命保険(団信)とは住宅ローンの返済中に万が一のことがあった場合、保険金により残りの住宅ローンが弁済される保障制度で、殆どの金融機関が住宅ローン付与の条件としている。