槇原敬之「2度目の逮捕」で危惧…芸能人の薬物事件を愉しむ人たち

「処罰より治療」という一言に尽きる
原田 隆之 プロフィール

これまでも同じような事件が起きるたびに、私は2016年の国連総会「薬物特別セッション」での提言を「現代ビジネス」で紹介した(「すべての人に絶対知ってほしい『依存症治療』で重要なこれだけのこと」)。

そのなかでは、以下のことが強調されている。

・薬物問題には、刑罰よりも治療、福祉、教育などのヒューマンサービスを優先させるべきである
・薬物使用者の人権を尊重すべきである

しかし、これだけ薬物問題に敏感で、薬物事件が起こるとすぐに報道されるわが国で、この国連の提言が一度でもニュースになったことがあっただろうか?ワイドショーで紹介されたことがあっただろうか?

これを報道しないのは、今後薬物使用者を吊るし上げて、バッシングできなくなると困るからだろうか?

 

エビデンスに基づく薬物対策

今や薬物使用に対する世界の潮流は、「処罰よりも治療を」という一言に尽きる。これを言うと、「薬物に甘すぎる」という批判が起きることは容易に想像がつく。

しかし、これは薬物に寛容になれということではなく、薬物から立ち直りたい人に寛容になれということである。それをはき違える人がいかに多いことか。

たとえば、覚せい剤を合法化している国は、世界に1つもない。どの国でも依然として違法である。国連条約でも薬物(大麻を含めて)は違法だと明記されているし、それは揺らいでいない。誰も薬物に寛容な社会を目指してはいない。

しかし、薬物使用者の立ち直りには、寛容な社会がどうしても必要であるし、それが何より効果的なのである。

処罰や社会からの排除は、むしろ逆の効果しかなく、唯一効果があるのは治療や福祉といったヒューマンサービスだということが、長年の科学的研究で明白になった事実なのである。

つまり、国連の提言は、なにも人道的な見地からの美辞麗句なのではなく、科学的エビデンスに裏付けられたたしかな事実なのである。