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ドイツ政局に大嵐を巻き起こした「前代未聞の珍選挙」その顛末

カギを握るのはやはりあの「極右政党」

次期首相を狙う動きが活発化

去る2月5日、旧東独のチューリンゲン州の州議会で、州首相を指名するための選挙が行われた。チューリンゲン州で州議会選挙が行われたのは、昨年10月27日。それ以後、3ヵ月以上も組閣ができなかったのには、もちろん理由があるが、それについては後述。

 

ドイツは、16の州(正確には13の州と3つの自治都市)からなる連邦国家で、それぞれの州が主権を持ち、議会、政府、首相、裁判所を有している。チューリンゲン州は議員の数が90名の小さな州ではあるが、それでも州は州。日本の県とは比べ物にならないほど大きな権限を持つ。

結論から言うと、この州首相選びが思わぬ脱線をし、そこで散った火花がすぐさま中央政府に飛び火。5日後の2月10日には、CDU(キリスト教民主同盟)の党首の辞任予告にまで発展している。元々くすぶっていたCDUの内部抗争が、今回の事件で一気に噴出した感がある。

辞めると予告したCDUのアンネグレート・クランプ−カレンバウアー党首は、14ヵ月前にメルケル首相より党首の地位を引き継いだ。メルケル首相はこれまで、党首と首相は同一人物であるべきだとして、12年間、自身でそれを実践してきた。ところが、突然、その意見を翻し、党首の座だけをクランプ−カレンバウアー氏に譲り渡し、自分は首相の地位に留まった。

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今回、クランプ−カレンバウアー氏は、これが党首の求心力を弱め、党内の混乱につながったと言っている。というのも、なぜか彼女の場合、党首でありながら、次期首相候補の地位さえ保証されていなかった。いずれ首相候補になるかもしれないし、ならないかもしれないという曖昧な立ち位置では、当然、力は弱く、党の統率はできなかった。

そこで氏は、自身は首相候補から降りると宣言。

「あとは責任を持って夏ごろまでに次期党首、兼、首相候補を定め、自分は12月の党大会で正式に党首を辞任する」

ところが、すぐさま党内で、「そんな悠長なことをしている暇はない」と反対の声が上がった。さっさと首相候補を決めて、党を立て直さなければならないという焦りが、党内で膨らんでいる。そして、その動きに伴い、現在、次期首相を狙う人物が活発に蠢き始め、党内はまさに群雄割拠のようになってしまった。

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