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新型コロナウイルスの影響はあるか…総統選挙を終えた台湾のこれから

いくつかの必然が台湾に味方している

習近平演説への「NO」

1月11日に投開票が行なわれた台湾総統選挙は民進党の蔡英文総統が大差で再選された。蔡氏の得票数は817万票でこれは総統選挙史上最多である。

蔡氏の得票率は4年前の2016年と比べて1ポイントアップして57.1%、対する国民党の韓國瑜候補は38.6%、親民党の宋楚瑜候補は4.3%であった。

韓氏の得票率は確かに前回の朱立倫候補の得票率31.0%より増えたが、反民進党陣営ということで国民党と親民党を合計した得票率を見れば、前回が44%、今回が43%でまったく増えていないことがわかる。

同時に行なわれた立法委員選挙でも与党民進党が過半数を維持した。民進党は4年前の選挙で初めて議会で過半数を獲得し、行政府と立法府の両方を掌握した。その歴史的選挙から4年たった今回も結果はほぼ同じで、民進党の政権基盤は強まった。

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確かに、今回の選挙で、有権者が過去4年間の民進党政権の立法や政治的議題のすべてについて是認したわけではない。

蔡政権は年金改革、脱原発などいくつかの大改革を一気に行ない、広範な既得権益層の反発を受けた。2018年11月の統一地方選挙では民進党は記録的な大敗を喫した。2019年の年初、蔡総統の支持率は低迷し、再選は難しいと考えざるを得ない状況であった。

その2019年1月、中国の習近平国家主席は台湾に向けて重要演説を行ない、「一国二制度方式による台湾統一」への強い決意を表明した。蔡総統は即座に習演説を批判し、中国による統一を毅然と拒否した。

そして選挙戦がスタートしてから蔡総統が繰り返し訴えたのは、上述の「一国二制度」への拒否、香港の若者への連帯、そして、台湾の自由と民主の体制の堅持であった。

蔡総統の支持率は上昇に転じ、2019年の夏にはすべての民意調査でトップに立った。秋以降はリードを広げ、そのまま多数の有権者の支持を得て再選された。

選挙戦の経過と結果から見て、台湾の有権者は、台湾のあり方についての蔡氏の主張を支持し、民進党政権をさらに4年継続させる判断を下したと解釈するのが適切である。地方選挙の争点は内政や生活関連のイシューであり、総統選挙の争点は台湾のあり方である。有権者は二つの選挙を区別して投票した。

まとめれば、台湾の民意は、民進党の個々の政策に意見は持っているが、この選挙において、習近平演説が示す統一を受け入れるつもりはないことを明確に表明したのである。