早期退職・再就職で「社名と肩書き」にこだわって失敗する会社員が続出中

もうそういう時代じゃありません
前川 孝雄 プロフィール

そもそも時代は大きく変わりつつある。現在50代前半といえば、バブル入社世代。就職した当時は、世間に名を知られた大企業で働くこと、そこで高いポジションを得ることは、社会的にも大きなステータスだった。直接一緒に仕事をするわけでもない親戚・縁者などからもそれだけで一定の敬意を払ってもらえただろう。

ところが、今や大企業の社名が持つインパクトは薄らぎつつある。特に今の若い世代にとって社名や肩書きはかつてほど大きな意味を持っていない。もちろん、社会に出ていない大学生が会社を選ぶ根拠は限られるため、最初は知名度の高い企業、商品やサービスに親しみのある企業を選びがちだし、親の心配も影響し大手だからこその安定も求める。

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しかし、私たちが若かった頃に比べれば、社名への執着心は驚くほど弱くなっている。その証拠に、大企業に就職しても、仕事の内容や職場環境に失望すれば彼らは簡単に辞めてしまう。ミドル世代なら「せっかく大手に入ったのになんてもったいない」と感じてしまうところだが、優秀な若者ほど苦痛を耐えてまで大企業の看板にしがみつきたいという意識は持っていない。私は本業の傍ら、大学でも教鞭を執り続けて10年になるため、この若者の変化をダイレクトに感じている。

若手の早期退職に関しては様々な意見があるし、一概に肯定することもできないが、彼らの意識の変化がなぜ起きているのかに注目することは重要だ。このような傾向は、若者が世の中を知らないから起きているというよりも、彼らが時代の空気の変化を敏感に感じ取っているから、つまり世の中を知っているからだと考えたほうがよいだろう。

今や大企業の社名や肩書きには、当のミドルたちが思っているほどの社会的価値はないことをまず理解しなくてはいけない。問われるのは、その会社、そのポジションで何をしてきたかということでしかないのだ。