Photo by iStock

ワープア国家日本「同一労働同一賃金」で全員の給料を下げる本末転倒

これでは「一億総低賃金」だ

2020年の春闘が本格化している。2月12日には、自動車メーカーなどの労組が経営側に賃金引き上げの要求書を提出した。

今年1月8日に厚生労働省が発表した昨年11月分の毎月勤労統計調査では、物価上昇幅を考慮した実質賃金は前年比0.9%減と、2カ月連続の減少。名目賃金(現金給与総額)も0.2%の減少となっており、賃上げ交渉がこの春闘の大きなテーマだが、政府による「働き方改革」の推進を受けて、今年の春闘では雇用制度改革もテーマとなる。

この「働き方改革」が今、様々な歪みを産み出している。いわば“官製ワーキングプア”が蔓延し始めているのだ。

 

残業抑制で「働いてるのに給料は減る」

2015年12月25日に元電通社員の高橋まつりさん=当時(24)=が自殺し、その原因は最長月130時間の残業などにあったことが明らかとなり、違反残業廃止の社会的気運が高まった。政府は「働き方改革関連法」として、2019年4月から原則として月間45時間、年間360時間の時間外労働時間(残業時間)を上限とする「罰則付き残業規制」を施行した。違反した場合は、罰則として6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される。

だが、残業削減は実態として、「就業時間後は残業禁止のため仕事ができないので、早朝出勤をしている」(製造業)、「残業が認められなくなってから、自宅で仕事をする時間が倍になった」(教育関係)というように、実際は残業であるにもかかわらず、“賃金が支払われない”サービス残業の増加につながっている。

Photo by iStock

その上、「残業を削減するために、人員の増強(主に非正規雇用)を行った結果、人件費が増加し、会社は従業員の給与を抑制し始めている」(サービス業)や「基本給が上がらない中で、これまでは残業代が生活費の糧となっていたが、残業が出来なくなったことで実質的に給与が大幅に減少した」(金融業)といったように、従業員の生活にまで影響を及ぼしている。