熱い思いのこともった
ホアキン・フェニックスのスピーチ

そんな中でも、一番情熱的な思想スピーチをしたのは、『ジョーカー』で主演男優賞を受賞したホアキン・フェニックスでした。

『ジョーカー』で社会的弱者が悪のカリスマへと変貌していく様をリアルに演じたホアキン・フェニックス〔PHOTO〕Getty Images

手短に感謝の気持ちを伝えた後、「自分がするべきことは声のない者のために声を発することだと最近ずっと考えてきた」と始めたそのスピーチは、現在取りざたされるあらゆる社会問題は、関係性がないように見えて実はすべて同じ。どれも不公平に対する戦いなのだと言う内容でした。差別や偏見から環境問題まで、自分を中心に考えず、共存して支え合う気持ちが一番大事であると。

そしてそのスピーチの最後を、亡くなった兄リバー・フェニックスが17歳の時に書いたという「愛を持って救済に向かえば平和は訪れる」という歌詞で締めくくりました。アカデミー賞受賞の瞬間ほど、世界中から注目を一手に浴びる機会はありません。ホアキンはきっと、その機会を最も意義のあるものにしようと決めていたのでしょう。名前が呼ばれるや否や立ち上がり、誰と抱擁することもなく舞台に上がった姿に決意を感じました。