新型コロナ危機で「封鎖」された武漢市、その壮絶すぎる3週間

中国・新型肺炎「現場」の今【前編】
ふるまい よしこ プロフィール

「自己隔離」する人々

武漢市に暮らす朱さんの89歳の祖母は1月24日、春節2日目に団地の車で病院に送り込まれ、廊下で診察の順番を待っているうちに亡くなった。2月2日になってもその遺体は遺体安置室に置かれたままで、葬儀場の順番を待っている状態。一緒に暮らしていた朱さんの父と叔父にはまだ発熱の兆候は見られないが、祖母の家で自己隔離している。

劉小セン(「火」偏に「宣」)さんが自宅で自己隔離に入ってから、2月2日で8日目。最初に体調を崩したのは母親、そして看病をしていた父親も咳き込むようになり、発熱はなかったが咳から呼吸困難を起こした。彼女も発熱が続いているが、薬を飲み、食事を取り、体力を維持しようと努めている。母親の症状は好転したが咳が続いており、今は市内の実家で自己隔離している。父親は入院中だ。

劉さん自身も身体が怠くて毎日4時間ほどしか起きていられない。肺に不快感があり薬を飲み続けているが、院内感染が恐くて病院に行く気になれないという。そうするうちに、家中のことを引き受けてくれていた彼女の夫も発熱するようになった。

 

2月1日の同済医院救急センター1階の発熱外来ロビーは点滴中の人、呼吸器をつけている人でいっぱいだった。ベッドが足りず自ら折りたたみ式のベッドを持ち込んでいる人もいる。病院長も「内科医や感染症医だけではなく、外科、麻酔科などすべての医師に研修を施して患者の診察に当たらせていると語る。

別の病院の神経外科医も「とにかくベッド数が足りない。その次に物資の供給が消耗量に追いつかない」と言い、武漢市第四医院でも「入院患者にのみ検査を行っていて、それ以上の人たちの検査は無理」という状態に陥っている。「検査ができないのは試薬が足りないだけではなく、医者の手が足りないのも原因。防護服が足りず、完全武装できる人手がおらず、まさか防護なしで検査に挑むわけにもいかないからだ」と病院関係者は語る。