新型コロナ危機で「封鎖」された武漢市、その壮絶すぎる3週間

中国・新型肺炎「現場」の今【前編】
ふるまい よしこ プロフィール

「家庭内感染」が猛烈に拡大

2月2日、隔離患者受け入れのために急遽突貫工事で建設された火神山病院が新型肺炎患者の受け入れを開始した。これと同時に新型肺炎疫病防止コントロール指揮部から「発熱して肺炎と診断された患者及び新型肺炎の患者と密接に接触した者を各地区でそれぞれ集中隔離観察ポイントに送り、医学的観察、治療、あるいはその他の予防措置を採ること」という10号通達が出て、楊晨さんはやっと一息つけるかもと期待した。彼の家族もそれまでずっと自宅隔離を続けてきたからだ。

突貫工事で病院がつくられた(2月2日の写真)〔PHOTO〕Gettyimages
 

楊さんの家では5人家族のうち祖父母2人が発症し、二つしか寝室がない家で自宅隔離を余儀なくされていた。「家で看病をしながら、食品の買い出しにも行かなくてはならない。そうすることでどれだけの人たちがウイルスの脅威にさらされているか」。

だが、翌日午後に再び取材の電話を取った楊さんの声は疲れ切っていた。「昨日おばあちゃんと病院に行ったら肺炎だと言われた。おじいちゃんは重体で、新型肺炎確定のための検査もできない状態だ」。武漢では都市封鎖とともに交通規制も行われており、患者が病院にたどり着く前に亡くなるケースも少なくない。

救急に電話をして救急車を呼ぼうにも順番待ち。団地の管理サービスに電話しても順番待ち。武漢市のコミュニティヘルプサービスのサイトもアクセスが殺到して1月25日以来開けなくなっている。ひたすら待つしかない状況のまま家庭単位で患者が増え続けており、やっとのことで病院の空きベッドの順番が回ってきたと思ったら、その家族の中から別の感染者が、あるいは家族全員が感染者になっているというケースは珍しくない。ベッドが見つかったときには重体で、春節初日にICUで亡くなったケースもある。