新型コロナ危機で「封鎖」された武漢市、その壮絶すぎる3週間

中国・新型肺炎「現場」の今【前編】
ふるまい よしこ プロフィール

王さんには膵臓がん末期の妻がおり、半月に1度治療先の病院に薬を取りに行っていた。その彼が体調不振を感じたのは昨年12月20日。ただの風邪だと思って医者にかかったところ、脈拍を測った医者が不整脈があると言う。そして胸部CT検査をしたところ、肺に感染が見つかり、そのまま入院した。

1週間経っても良くなるどころか悪くなるばかりの王さんの容態に苛立った妹の王蘭さんが、病院の治療方法に不満をぶつけたところ転院を勧められる。翌日、別の病院で改めてCT検査をしたところ、王さんの肺はすでに真っ白になっていた。医者はまずエイズを疑い、次にインフルエンザ、梅毒の検査をしたがいずれも陰性。その後呼吸器科のICU病棟に移ったところ、医者から「ウイルス性肺炎」との診断が下り、感染症専門の金銀潭医院に転院することになった。

だが転院日の1月4日、すでに王さんは意識不明となっていた。人工呼吸器が取り付けられたが、娘の王倩さんがチューブだらけの父親の姿に延命治療を続けるのはあまりにも可哀相だと、6日夜に呼吸器を外すことに同意、王さんは7日早朝に亡くなった。

〔PHOTO〕iStock
 

病院は献体を提案したが、王倩さんは拒絶。病院側は、ならば伝染病なのですぐに火葬しなければならないから最期のお別れはできないと言われ、王倩さんが頼み込んでやっとのことで医者が代わりに父の最期の様子を8秒間の動画に収めてくれた。そうして王さんは荼毘に付されたが、その死亡証明書の死亡原因には「重症肺炎」と書かれていただけだった。

王さんの付き添いをしていた妹の王蘭さんも1月4日に体の怠さを感じ始め、すぐさま胸部CTを撮ったところ、感染が確認されてすぐに隔離治療に入った。8日には彼女も金銀潭病院に転院、その後容態は反復したが24日に退院にこぎつけた。自分は不調を感じてすぐに治療を始めたのが良かったのだろうと王蘭さんはいう。その一方で、王倩さんとその夫も1月10日から発熱が始まり、CT検査を経て2人の感染が明らかになった。