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新型コロナ危機で「封鎖」された武漢市、その壮絶すぎる3週間

中国・新型肺炎「現場」の今【前編】

封鎖された街

湖北省武漢市が1月23日に封鎖されて外部から遮断されて3週間が経った。この間、中国の一部では春節休みも開けて、そろりそろりと日常に戻る準備が進められている。だが、その一方で新型コロナウイルスの感染は拡大を続け、この少しずつ始まった「日常回帰」が吉と出るのか凶と出るのか、確たる答えを出せる人は誰もいない。

日本でも「人から人へ」の感染者が出て途端に警戒感が高まり、マスクの買い占めも始まったが、それでも街にはまだそれほどの緊張感はない。

だからこそ考えてみてほしい。もし、あなたが住む街が突然外部との往来を遮断されたとしたら? 元気そうに見える家族の体調が急変したら? 病院に駆け込んでも問診すら長い順番待ちになっているとしたら? そして、「まだ微熱なので、家で休養してください」と言われたら? そんなふうに「自宅隔離」している患者があちこちに存在すると知ったら? 

そして、あなたはその街に多くの患者たちと一緒に閉じ込められてしまい、そこから出ていくことができないとしたら?

武漢のスーパー(2月12日)〔PHOTO〕Gettyimages

日本のメディアは感染の拡大と患者数の急増にしか関心を注いでいないが、武漢では今この瞬間も約1000万人もの人が日常を送っているのだ。彼らはいかに暮らしているのか、どんな思いで日々を過ごしているか、そして彼らの周囲の人たちはどうしているのか、中国メディアは武漢に残した記者を通じて、あるいはオンラインで市民と接触し、現地の様子を果敢に伝えている。今回はそんな報道の中からいくつか選び、かいつまんで「閉じ込められた武漢の人たち」の姿をご紹介したい。

 

「最初の死者」が息を引き取るまで

武漢に暮らす67歳の王壮壮さん(仮名、以下すべて同じ)がどんな形で感染したのか、その死から1カ月経った今も家族には分からないままだ。さらに、医者は王さんが今回の感染騒ぎにおける最初の死者だと言ったが、最後まで「新型肺炎」の診断は下りなかった。