決算発表で判明…日産は「ゴーンの手法」を今こそ見習うべきという皮肉

大きな赤字を恐れない覚悟を
井上 久男 プロフィール

稼げる地域がない

日産自動車は2月13日、2019年4~12月期決算を発表した。売上高は前年同期比12.5%減の7兆5073億円、本業のもうけを示す営業利益は82.7%減の543億円、純利益も87.6%減の393億円となった。営業利益を売上高で割った営業利益率はわずか0.7%に過ぎない。為替の変動などがあれば、一気に赤字に陥る利益レベルだ。

自動車メーカーの屋台骨を支えるグローバル販売台数も8.1%減の約370万台。地域別で見ても、日本、中国、北米、欧州、中近東などその他地域のすべてで前年同期割れだ。

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この結果、地域別の営業利益では、ドル箱だった北米地区が49.4%減の582億円、国内が94%減の96億円、欧州が242億円の営業赤字からさらに赤字が拡大して259億円の営業赤字、アジアも39.8%減の327億円。日産はいまや稼げる地域がなくなっている。

自動車ビジネスは販売が落ち込み始めると、負の連鎖に陥る。大きな設備や多くの人員を抱えるため、売上が落ちても一定の固定費がかかるため、手持ちの現金が減っていく。日産のネットキャッシュは、現時点で8475億円だが、前年同期には1兆3344億円あった。4割近く現金が減っている。このまま販売が落ち込むと、手持ち資金は1年以内に底をつくかもしれない。

 

すべての地域で営業利益が落ちているのは、前会長のカルロス・ゴーン被告が経営を牛耳っていた時代に、新興国での規模拡大のための設備投資に資金を集中させ、商品開発にカネが回らなかった結果、モデルチェンジのサイクルが長くなり、「車齢」の長いクルマが増えたためだ。

たとえば、北米では他社が2年半から4年でモデルチェンジしているのに、日産は約5年でモデルチェンジしているため、商品力で劣後している。

こうしたゴーン経営時代の「負の遺産」に日産は苦しんでいるわけだが、それに対する処方箋として、かつてゴーン被告がやった「リバイバルプラン」のように、過剰な設備と人員をさらに削減する必要がある。雇用を守る大切さはあるものの、そこにこだわり過ぎると、かえって将来の雇用維持に禍根を残すリスクもある。

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今の日産の置かれた現状を考えれば、むしろ一気に特別損失を計上し、過去の負の遺産の膿出しをして、将来の成長に備えるべきだが、今回の決算では中途半端な黒字を維持してしまった。

 
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