「真実」より「物語」の方がつながりやすい

――本当の自分が架空の自分に翻弄されていくJ・T・リロイの出来事は13年前の話ですが、フィクションの自分を作り上げる現在のSNS時代に共通するものがあるように思います。

サヴァンナ:日本では、「Post Truth」という言葉は使われていますか?

撮影現場に立ち会うサヴァンナさん

――客観的な事実よりも個人の信条や感情が世論を動かす、という「ポスト真実」という言葉は、トランプ大統領やイギリスのEU離脱がきっかけで、日本でもよく聞きます。

サヴァンナ:今は「ポスト真実」の時代だと思うんですよね。人間は物語というフィクションを作り出し、それを共有することで他者とつながる。真実よりも物語の方がつながりやすいという部分もあると思います。SNSの時代は、そういった人間の特性が顕著に表れているのかなと。

つまり、ローラと私はアナログ版のなりすましだったわけで(笑)。でもフィクションは真実を超えることもあるーー。この映画には、観客に「こう感じてほしい」というメッセージはありません。人間の複雑性やフィクションと真実の関係性について、自由に感じて下さることが私の願いです。