水に流そうと思ったけれど…

当時、元夫は独立したばかりのデザイナー。子どもは1歳になったばかり。志帆さんはフリーライターをしていたが、出産後は、ほぼ開店休業中だった。

離婚をしても、いきなり仕事が得られるかどうかわからない。何より息子をパパのいない子にしたくない。だから、今回は水に流そうと思った。それなのに、夜になって帰ってきた元夫は「実は彼女に本気だから、離婚したい」と言ったのだった。

「私は思わず、絶対離婚したくない、って言いました。そうしたら、向こうは謝るどころか、おまえはあのときはああだった、こうだった、って責めてきて。彼女との仲を邪魔する私が憎く思えたんでしょう」 

バトルすること2週間。自分を棚に上げてこちらを責め立てる態度にいい加減頭にきて、志帆さんの気持ちは「絶対離婚したくない」から「クッソ、絶対離婚してやる」に切り変わった。そして、少しでも有利な形で離婚しようと、「証拠を集めたり、弁護士に相談したりしました」 

救いだったのは、志帆さんのなかに彼女に対する嫉妬心が生まれなかったこと。

「息子が生まれてから正直、まったく子育てに協力してくれない元夫への愛情はなくなっていました。だから、浮気されて怒りは湧いたけど、悲しい、という気持ちはなかった。元夫のことが好きだったら、地獄だったでしょうね……」

愛情としての「悲しさ」がなかったのは、幸いだったのかも…Photo by iStock