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日本がどんなにピンチでも「日本円は低リスク」と扱われる理由

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「低リスク通貨、円」とはどういうことか

よく新聞などで、「低リスク通貨、円」といわれる。この「 」(かっこ)は “いわゆる”という意味で、根拠が(理論的に)“硬くない”ということである。

市場部門には様々な“原則”がある。筆者もかつてメガバンクで内外の市場部門でディーラーをしてきた経験もあるが、その当時、80~90年代には「有事のドル買い」が大原則であった。

そのころは“有事”というと“紛争(戦争)”が多かったが、米国が軍事力でも、経済力でも圧倒的であり、つまり何かあると「米ドルが上昇する」といわれていて、ディーラーもその原則に忠実に従った。

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大きく分けて、市場系の金融商品は、為替(通貨)・株式・債券があるが、この順番で論理的になっていく。言い換えれば計算が可能になってくると考えている。つまり、為替の予想は難しく、ある意味、動物的というか、様々な原則に従ったものになる。

弊書「通貨経済学入門(第2版)」(日本経済新聞社)にも詳しく書いたが、為替はざっくりいうと、金利とリスクがその主因になることは解説しているが、そのレベルまでは計算はできない。もちろん、物価水準から計算する購買力平価説もあるが、短期的には役に立たない。

その後、米国の軍事力神話を揺るがす事件が起こった。2001年9月11日に発生した、ニューヨークを中心とした“同時多発テロ”いわゆる「9.11」である。これは、今まで他国に攻められたことがない米国本土も、戦場になるということが自覚され、この時から「有事のドル買い」の原則が揺らいだ。

 

そのころ主要国際通貨としては、米ドル・欧州ユーロ・日本円などがあった。ユーロは帳簿上は1999年に誕生していた(その後、ユーロの現金が2002年に登場することになる)。順番でいえば米ドルがダメならユーロで、ということでユーロが注目された。

しかし、ユーロ誕生時には、参加予定国ギリシャの経済・金融の弱さが引き立っており、参加が見送られ、その後、参加するものの2009年にギリシャ・ショックをもたらすことになる。

その一連の流れの中で、EU自体への懸念も浮上し”ユーロもダメ”だということになり、消去法で「円」だということになっていったのである。これが「低リスク通貨、円」の誕生の経緯である。