米アップル、「株価急騰」のウラで怖い「コロナショック」の最大危機

iPhoneは好調、財務戦略もいいが
石原 順, マネクリ プロフィール

反騰したアップル株の背景にある強固な財務体質

アップルの財務体質で特筆すべき点といえば、その手元資金の潤沢さであろう。アップルは長らく、手元資金保有額トップを独走していたが、2013年に著名投資家のカール・アイカーン氏がアップルに対し株式公開買い付け(TOB)を通じて自社株買いを行うよう求めたことをきっかけに、株主還元を積極化させ手元資金の圧縮に取り組むようになった。

2019年4月には総額750億ドルの自社株買い枠を追加したほか、四半期配当を5%引き上げることを発表した。

次のグラフはアップルの発行済み株式数と時価総額の推移を示したものである。2013年以降、自社株買いを実施し、株数は減少傾向にあることが見て取れる。その一方、時価総額は上昇しており企業価値が向上している。自社株買いによって株数が減少すれば、需給が引き締まり、EPSが上昇するため、株価はその分値上がりするのは当然の帰結である。

 

昨年のアップルの株価反騰の背景には大規模な自社株買いがあったことは否めない。実際に去年1年間で780億ドル、日本円にすると8兆円を超える規模の自社株買いを実施した。

●アップルの株数と時価総額の推移

出所:筆者作成

しかしアップルの企業価値向上は、自社株買いによってもたらされた株価上昇だけによるものではない。アップルの発行済み株式数は2013年に65億2200万株だったのが、2019年には46億4900万株と約28%減少した。

これに対して、時価総額は2013年の5227億1025万ドルから、2019年には1兆3651億7885万ドルと約61%増加している。つまり需給だけでは説明できない企業価値向上が果たされているのである。

マーケットではコロナウィルスの影響が実際のビジネスにどの程度広がっていくのかが懸念されている。ブルームバーグの報道によると、アップル製品の生産を請け負うフォックスコン(ホンハイ)は中国・深圳の拠点に勤務する従業員に対し、延長した春節(旧正月)の休業が明ける10日は職場に戻らないよう指示したとも伝えられている。さらにアップルは中国に展開する42店舗全てを2月10日まで閉鎖すると発表していたが、閉鎖は延長され、店舗によっては15日まで続くと言う。

今後のコロナウィルスの中国市場に対する影響については見守る必要がありそうだ。