ついに国内初の死者…新型肺炎「分かっていること、分からないこと」

そして自分の身をどう守ればいいのか
伊藤 功朗 プロフィール

検査数が中国より極端に少ない

日本ではPCR(*1)検査の処理件数が少なすぎるのではないか思う。

中国では検査数は感染者4万件の数倍であろうから、中国は恐るべきパワーである。一方、日本で検査した人数はたかだか1,500名である。

クルーズ船の乗客のPCRが一向に全員分終わらないことからみると、1日の検査数が中国より極端に少ないのではなかろうか。

〔PHOTO〕gettyimages

危険性が未知のウイルスを扱う場合、防御グレードを満たす実験室でないと扱えないため、施設・設備は限られる。

RNA(*2)ウイルスのPCRには、RNAを逆転写してから行うためDNAのPCRよりひと手間かかるが、行う機器や方法は普遍的なもので特別なものではない。

だとすると、マンパワーの不足が理由になるが、手技も決して複雑なものではなく、経験者は世間に豊富にいるはずだ。

 

しかし実際、ある報道では「検査は横浜検疫所が中心となって行っているが、処理能力は1日22~23件で、厚生労働省の担当者は3000人以上の検査は不可能と発言」とのこと。

筆者自身の経験からは、RNAの処理と増幅は一人で1日最大5回(検査装置によるが、検体数にして150から400程度)は行える。なぜなら、一度PCRの機械にかけてしまうと、2〜3時間は別の作業を並行してできるからだ。

働き方が問題であれば交替しながら行えばよい。一施設でこなすのが無理なら、オールジャパンで分担して行う体制がとれないものだろうか。

(*1)PCR: polymerase chain reaction(ポリメラーゼ連鎖反応)。遺伝子を増幅することで、少量の遺伝子でも格段に検出しやすくなるため、臨床検査でも病原体やがん遺伝子の検出などに応用されている。
(*2)RNA: ribonucleic acid(リボ核酸)。地球上の多くの生命体の遺伝情報はDNA(デオキシリボ核酸)に刻まれている。RNAの役割の一つとして、必要な時にDNAがRNAに転写され、RNAが鋳型となって蛋白が合成される。RNAウイルスはRNAを遺伝情報としてもつウイルスで、コロナウイルスやHIVなどがある。RNAを測定・検出するには、通常DNAへと逆転写してからPCRを行う。