【秘話】野村克也さんが「沙知代さんの墓前」で語っていたこと

迎えに来るのは少しだけ待ってくれよ
2月11日未明、元プロ野球選手の野村克也氏が亡くなった。84歳だった。球界屈指の「愛妻家」として知られていたノムさん。妻・沙知代氏に先立たれて1年3ヵ月経った頃、妻の墓前でその胸の内を語っていた。今回、そんな野村克也さんの「知られざる一幕」を動画とともに紹介する。
野村克也氏が綴った最後の手記
 

俺の順番もすぐそこまで来てる

きましたよ。

久しぶり、一周忌以来かな。もっと頻繁に墓参りに来ないといかんのだろうけど、嫌なんだよ。憐れで。

言い過ぎたのかな、俺より先に逝くなよって。死期が近づいていたから、俺をちゃんと送り出してからにしろよってしょっちゅう言ってたんだ。まさか、まさか。人間の最期ってのはあっけないね。

幸せだったのかどうか、本音を聞かずに逝かせてしまった。生前、沙知代から感謝の言葉は一言もなかった。ありがとうって口が裂けても言わない人だから。もう、いまでは自問自答するしかないよ。

――克也さんからも沙知代さんに「ありがとう」を言ったことがないそうですね。

言ったほうが良かったのかなぁ。俺より先に逝くとは思わなかったから、言わなかった。ありがとうを言うことは、終わりを告げるようなものだから。

――いまはどんなお気持ちですか。

感謝をどう伝えたらいいのか。典型的な「かかあ天下」の家だったけれど、年上女房って男にとってはいいんじゃないかと思うんだ。裏でサインを出して、亭主であるピッチャーを引っ張るキャッチャーのことを「女房役」って言うじゃない。そういう意味では、我が家はサッチーがピッチャーだった。俺はグラウンドでも家でも、女房役をやってたんだ。