「富士山噴火」は予測できないのか…国力と共に監視力が弱りつつある

このままでは後手に回ることに
鴨川 仁 プロフィール

火山学を専門としない研究者達も参画できる

そこで、現在、普及し始めたIoT(モノのインターネット)技術を用いて低コストかつ少ない人的リソースでの観測にもっとシフトできないものか。つまり、このまま国などの大きな組織だけでなく火山学を専門としない研究者達も参画し、ボトムアップレベルでも観測体制は築けないものか、と考えている。

たとえば、筆者らで組織する研究集団のNPO法人は、富士山の山頂・中腹・麓での環境科学、地球科学の科学計測をしている。こうした大気化学観測を始めとした複数の観測は、噴火観測にも転用可能である。測定の専門家であるから、火山的知見を火山専門家から協力を得れれば、素早くかつ事実上、火山監視体制の人材を増やせる。

 

さらにこの計測技術に加え、IoT用のデータ転送技術を用いると従来の手間やコストに比べ、ぐっと縮小化した規模で監視ができる。2018年から技術実証実験開始され、2年以内には常時監視を見込んでいる。公的補助がなく自己資金のみ自主運営されるNPO法人でも、やり方次第では、物事は前進させられると考える。

富士山に限らず、国力・科学力低下に伴い火山の観測・監視体制の質は低下している。だが、この現状に対し、限りある予算をどこに投資していくか、国民レベルの議論が必要だろう。国で管理が難しいならば自治体で、それでもダメならば産学やNPOなどで、防災力を代替手段でどのように高めていくかの意識向上が、関係者まかせでなく国民全体でも必要な時世になっている。