「富士山噴火」は予測できないのか…国力と共に監視力が弱りつつある

このままでは後手に回ることに
鴨川 仁 プロフィール

「傷だらけ」の監視体制

それでは富士山の噴火監視態勢はどうなっているのだろうか。富士山は、人口が密集する首都圏から100 kmほどしか離れていない。そうした位置にある影響力から考えても、国や地方自治体、大学や研究所など複数の機関が監視に従事していることは頼もしい。

そのうちいくつかはインターネットでもリアルタイムでデータを公開しており、多くの人の目に触れているので、欠測などは避けやすい状態にはなっている。しかし全ての観測が誰の目にも常に見られている状態ではない。事実、筆者が知る限りでも欠測しているものもある。前述したように、火山監視体制が縮小してしまった問題は、いまだ継続していると身をもって感じる話である。

 

大学についていえば、2004年からの独立行政法人化以降、「研究力」が世界で唯一落ち込み続けているという異例な事態も、本問題の大きな原因になっている。つまり、富士山が最良な監視状態にあるかと問われると、国力、科学力が落ち込んでいる日本の状態から考えれば、「傷だらけ」の状態である。関係者の現場努力でなんとか運営できているというのが実情なのだろう。応急処置を繰り返すような状態で、監視を続けられるかは、大きな懸念事項である。

富士山の噴火は社会への影響力が大きい。従って国家予算の配分が厳しい状況でも、研究者や行政関係者が不十分な観測体制を国へ訴えていき、予算確保を行うというのは、当然ながら必要である。しかし、国家財政事情から勘案すると、理解を得るとしても時間がかかる、持続的な支援も厳しい、と考える必要がある。