米大統領選史上最悪のミス!? アイオワ大混乱の現場で何があったか

ルポ 2020年米大統領選
渡辺 将人 プロフィール

1番目のステイタスへの全州からの嫉妬は激しい。民主党は「アイデンティティ・ポリティクス」が支配する。アイオワは黒人住民がほとんどいないので、黒人民主党幹部や評論家は叩く。ニューハンプシャーも1位の地位を狙って雪辱があるので叩く。カリフォルニア、テキサスなど大票田も叩く。

彼らがスピン操作をしまくる。これは4年ごとに起きることで、今度こそアイオワを1番目から引きずりおろそうと毎回躍起になる。

通常このアイオワ叩きにもブレーキがかかるのだが、今回は開票結果がすぐ出ない問題でメディアを敵に回し、アイオワ批判がマックスに増幅した。

CNNのアイオワ選挙特番では、オバマの元側近でシカゴ大学政治研究所のアクセルロッド所長と共和党のサントラム元上院議員が擁護。いずれもアイオワで良い思いをした派だ。

対するクリントン夫妻の親友のマコーリフ元バージニア州知事のほか黒人評論家、黒人アンカーらがこぞってアイオワ批判を展開した。実に分かりやすい。

アイオワで2位までに入って勝たせてもらった人は超党派で擁護する。アイオワ共和党はアイオワの混乱の夜から、「党員集会が悪いわけではない」と、盟友アイオワ民主党を一心不乱に援護射撃し、トランプ大統領の一声もそれを加速した。

本当の解決は、予備選も本選のように50州一斉同日投票で行うことなのだが、興味深いことに、それを提案する人はいない。

政治評論家も、アイオワが1番目はおかしい、サウスカロライナとか他の多様性がある州に交換しろと言うだけで、黒人がいたほうがいいとか、南部にしろとか、結局は順番争いである。

ここが日本からすると奇異な部分で、予備選を州ごとに小刻みにやる制度は一向に変える気がない。

 

現場の大混乱

さて、ではアイオワの夜何が起きたのか。

筆者はアイオワシティの会場「アイオワ・メモリアル・ユニオン」にいた。アイオワ大学のキャンパス付近で765人が参加したマンモス会場で、学生や大学関係者が大半だ。若者のほとんどが4年前には選挙権がなかった初めての参加者でルールへの無知が顕著だった。

アイオワ・メモリアル・ユニオンの会場内アイオワ・メモリアル・ユニオンの会場内〔PHOTO〕筆者撮影

基本、3つ新しい制度変更が同時にあると現場は混乱する。

2020年は、

①第1希望と第2希望を時間差で裏表に書く「プレファレンスカード」
②1回目投票で15%に達した候補を支持した人は2回目には支持を動かせないルール
③1回目票数と2回目票数と代議員数の3つの数字をすべて公表

という3つの制度変更が津波のように押し寄せた。

しかも、アイオワ民主党はこれまで1年間、民主党全国委員会の却下で実現しなかったバーチャルコーカスの制度設計にすべてのエネルギーを注いだ。これに時間を割かれ過ぎ、3つの新制度を現場キャプテンに徹底できないまま当日に突入した。