「左翼/右翼」の意味をはじめて知った学生と考える「政治意識」のこと

フランスと日本の狭間で
西山 雄二 プロフィール

デモは「非合法な暴力革命」?

「社会運動」の回でも、学生らの生々しいコメントが返ってくる。授業では社会運動の定義を示した上で、1970年代以降の脱産業社会において「新しい社会運動」が起こってきたことを説明する。

 

階級や労働者ではなく、マイノリティや青年、女性など、高度産業社会の周辺部に位置する多様な人々が、柔軟なスタイルで社会運動を培ってきた。政治家が議会で討論するような「大文字の政治」だけではなく、日常の生活感覚に即した「政治的運動」が現れたのである。

たとえば、フランスでは「68年5月の出来事」がその転機をなし、学生らの異議申し立ての運動が労働者1000万人のゼネストにまで発展した。デモがおこなわれた街路や広場で、占拠された大学や劇場で、誰もが等身大の言葉で政治を語るという解放的な空間が生じたのだった(西川長夫『パリ五月革命 私論――転換点としての68年』平凡社ライブラリー、2018年、参照)。

1968年5月、パリのデモの様子〔PHOTO〕Gettyimages

授業では、日本の社会運動の歴史に関して、60年安保闘争から全共闘運動、福島原発事故以後の社会運動といった流れも概観する。

コメントによると、受講生のほぼ全員が、デモなどの社会運動と暴動の違いを知らないようだ。メディアで報道される過激な暴力シーン(警官隊・機動隊との衝突、店舗の破壊や略奪など)しか印象にないため、デモを非合法的な暴力革命と考えているらしい。デモはそもそも、道路交通法による許可申請を経た合法的な表現行為である。授業ではデモ活動とストライキの定義と社会的効果を説明しなければならないが、そこではじめて学生らは中立的な理解に達する。