「左翼/右翼」の意味をはじめて知った学生と考える「政治意識」のこと

フランスと日本の狭間で
西山 雄二 プロフィール

「中立でありたい」という欲望

「右翼/左翼」の回では、フランスの歴史や現在の世界的な右傾化とともに、右/左の定義や解釈を考える。フランス革命時に国民議会では王党派・中間派(フイヤン派)・急進派(ジャコバン派)の対立があり、その座席から右翼と左翼の呼称が生まれた。保守派は歴史的に継承されてきた伝統や秩序を保守し、自分たちの民族が培ってきた歴史への敬意を大切にする。

これに対して、革新派は人間の理性に基づいて行動し、理不尽な支配や抑圧など、政治や経済の仕組みは人間の手で作り変えることができると考える。さしあたり、右翼/左翼をこう素朴に表現することができるだろう。

ただ、近代の歴史を通じて、右/左の区別は錯綜しており、むしろ両者の性質が複雑に絡み合っていることが多い。時代や論点によって、右/左の内実や立場は変化するので、単純な線引きは難しい。

 

この授業に対する、学生たちの反応は冒頭で紹介した通りだが、右/左の社会的感覚を身につけることは重要である。

そもそも多くの学生らは自分が右寄りでもなく、左寄りでもなく、中立だと信じているし、中立でありたいと思っている。だが、純粋な中立などありえず、論点や状況にしたがって、私たちは右か左に向いている

私は授業では、実例として自分の立場を告白しておく。「私自身は中道左派あたりの立場をとることが多いです。研究者という職業上、あらゆる秩序や規範の前提を自由な視点で問い直してしまうからです」。中立という純粋さを闇雲に信奉してしまうと、かえって自分と社会の政治的状況がわからなくなることがあるのだ。