2020.02.17
# 情報リテラシー

大炎上「オリラジ中田のYouTube大学」なぜ人は信じ込んだのか?

「勉強した気にさせる」体験の是非
古田 拓也 プロフィール

それだけでなく、「Youtube大学」には、大きな字幕で扇情的な配色のサムネイルや、簡潔で分かりやすい板書が登場します。意図的かはさておき、中田さんの高いプレゼン能力で視聴者の感情が大きく揺さぶられやすい構成になっていることが、視聴者のクリティカルシンキング能力低下の要因であるとも考えられます。

さらに、動画のコメント欄やSNSでは中田さんの動画の内容を称賛する投稿が騒動後も多数寄せられています。この構成は、まさにボン氏が提唱した「群集心理」に合致するといえるでしょう。コメントという顔の見えない群集が、YouTube大学の信ぴょう性を実態以上に補強しているのかもしれません。

 

「勉強した気にさせる」体験の是非

中田さんの動画をみると、同氏の解説は「100%十分なものとはいえず、議論が活性化することを望んでいる」という趣旨のメッセージが付け加えられている動画もあります。

このように、「Youtube大学」については、あらかじめ精度が低い可能性があるというリスクヘッジを行なっています。しかし、内容の精度が十分に担保されていないとすると、チャンネルの主旨は「勉強した気にさせる」体験を視聴者に提供しているに過ぎないともとることができるかもしれません。

しかし、筆者は「した気にさせる体験」は決して悪いことではないと考えます。例えば、ある職業の職業体験や伝統工芸の体験で、リアリティのある苦しさや辛さばかり伝えても、「自分にはできない」と受け手をますます遠ざけてしまうことになりかねません。

この点については、「これまでは勉強がいらないと思っていた」と考えていた人々に、「勉強が面白い」という意識付けができたという点で、中田さんの戦略も意義があるといえるのではないでしょうか。

ちまたには数え切れないくらいの正しくない情報があふれています。私たちを取り巻く情報に正しくないものが少なからず混じっているのであるならば、YouTube大学を批判することよりも、正しい情報の目利きができるようになることこそが建設的・生産的なのです。

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