抗がん剤の副作用を抑える
“支持療法”が確実に進歩してきた

抗がん剤を嫌がる理由のひとつに、「壮絶な副作用や苦しみ抜いて死んでいった親族を見てきた」など、過去の経験からアンチ抗がん剤となる人もいる。

「確かにがんの治療法が限られ、標準治療が確立されていない20年以上前はそういうことがありましたが、今は全く違います。今回のドラマでも、抗がん剤治療を受けている人がたびたび登場しますが、ほとんどが通院です。普段着やなかには作業着で、仕事を途中で抜け出して抗がん剤を受けに来る人が描かれています。

ベッドで寝たきりで、ずっと吐き続けているというステレオタイプの描き方はされていません。これらは真実を語っています。

抗がん剤の副作用を改善することを“支持療法”と呼びますが、この分野は、この20年でとても進歩しました。治療の種類や個人差はありますが、昔と同じタイプの抗がん剤を使用しても、ムカムカする程度で、抗がん剤治療をしながら、今までと変わらず仕事もできる時代になっています」(勝俣医師)

ドラマでは、AYA世代の乳がん患者の抗がん剤治療や副作用についても描かれる。写真/フジテレビ

医師と信頼関係が築けず、民間療法に走ることもある

抗がん剤治療にいまだに誤解が多いなかで、患者にすべてを理解してもらうにはかなり時間を割くことが必要だろう。また、患者の意向も把握しつつ、話をすすめるのが理想だが、忙しい医療現場でなかなかうまくコミュニケーションが取れないことも多いと聞く。

「患者さんの立場からすれば、がんを宣告され、動揺するなかでさまざまな噂を聞けば、抗がん剤に抵抗感を持つのは当たり前の感情だと思います。そんな状況下で医師が民間療法は認めないと言い切ってしまうと、“私の気持ちを分かってくれない”“先生に私の命を預けられない”と思われて治療が進まなくなることもあります。

また、医師から“それだったら、他の病院に行ってください”と言われると患者は、それこそ本当のがん難民になってしまうこともあります。なぜ抗がん剤をしたくないのか。他の民間治療を受けたいのか、患者さんの気持ちをきちんと聞くことはとても大事なことだと思っています。そこをはしょってしまうと信頼関係が作れませんから。民間療法で治ってくれれば本当にいいと思います、しかし治った人を僕は見たことがないんです。と、時間がかかっても根気よく説明します」(勝俣医師)