手術でがんを取っても抗がん剤を使うは、意味がある

「早期のがん患者の方からよく質問されるのが、“手術して腫瘍を取ったのに、なぜ抗がん剤をやるのか?”という内容です。早期がんでは、無症状のことが多く、元気なのになぜ抗がん剤をしなくちゃいけないのかわからない、という方は多いです。ですが、初発の方の抗がん剤は、再発防止=がんを治すことが目的です。無症状の段階でたたくことがとても大切で、あとからでは間に合わない。初期段階で、標準治療を拒否して、民間療法や食事療法などの代替療法へ行くのは危険すぎます。

術後に“念のため抗がん剤をやりましょう”と言う医師もいますが、抗がん剤は念のためにやる治療ではありません。 “念のために抗がん剤を~”と言われれば、どっちでもいいんだと思ってやめてしまうこともあります。そして、のちに再発する人もいます」(勝俣医師)

ドラマでは抗がん剤のシーンも多く出てくる。写真/フジテレビ

アメリカでは抗がん剤を使っていない、は大ウソ

よく聞く噂のひとつに「アメリカではもう抗がん剤はやっていない」という話もある。

「とんでもないデマです。アメリカのほうが日本よりも抗がん剤を積極的に使っています。アメリカにはがんの薬物療法の専門家である腫瘍内科医が大勢いて、がんと診断されたらまず腫瘍内科を受診します。そして、腫瘍内科が手術、放射線、抗がん剤の標準治療を組み合わせるナビゲーターをしています」(勝俣医師)

先ほど紹介した、がんの新薬の治験も、日本では残念ながら多くは行われていない。新薬の治験は、海外が先行し、遅れて日本で導入されることがいまだに多い。治験というと、製薬企業だけが行うものと誤解されているが、米国の治験は、医師が主体的に行う治験の方が多く行われている。治験を主導しているのも腫瘍内科医の役割だ。

また、患者団体の寄付で治験が行われることも多い。この点では、新薬研究や治験のレベルでも海外に大きく後れを取っていると言えよう。そして、現在認可されている抗がん剤の多くは、アメリカなどの海外で多くの患者さんの協力があって生まれたものであることも知っておいてほしい。