がん治療の大きな妨げとして、今問題になっているのが、“がんのデマ情報”と“怪しい民間治療”だ。前回の記事でも、AYA世代(15歳~39歳)のがんで、親が抗がん剤を怖がり、治療を拒否するケースがあることを紹介した。

ドラマ『アライブ・がん専門医のカルテ』の企画協力医でもある、日本大学付属武蔵小杉病院の腫瘍内科、勝俣範之医師は、がん医療に蔓延する「誤った知識や怪しい治療」をただすため、日ごろから東奔西走しているリーダー的存在でもある。

今、がんの治療現場で、一体どんな問題が起きているのだろうか。

がんに関するネット検索は、半分近くが怪しい情報

がんと告知されると、患者や家族が病気や治療について、最初にするのは“調べる”という作業だ。ネットや書店でがんに関する書籍や雑誌を探しまくるのだ。そこで目にする「○○療法でがんが消えた」「抗がん剤で寿命が縮む」といった文字に釘づけになる。

しかし勝俣医師は、「ネットや書籍の内容は正しい情報ばかりではない」と言う。
むしろ、正しくない情報の方が多い。実際に、2016年にがん治療に関するインターネット情報の信頼度を調査研究しました(下図参照)。大手検索ツール(GoogleとYahoo!)で、“がん治療”“がん治る”の2つのキーワードで検索をかけ、最も読まれる上位20に入るサイトの情報をがんの専門医たちで検証したのです。その結果、危険・有害なサイト(レベルC)が39%と4割近くを占め、信頼できるサイト(レベルA)は10%だけでした」(勝俣医師)

資料提供:勝俣範之医師

事実、「○○でがんが消えた」「抗がん剤に変わる最先端のがん治療」など、ネットには記事のふりをした誇大広告や虚偽広告が溢れ、医師や患者たちの要請もあり2018年5月に医療法が改正された。医療広告も規制対象となり、広告は広告と分かるようと通達がされてはいるが、いまだに怪しい情報が減ったわけではない。

まずは、標準治療や抗がん剤へのありがちな疑問や誤解を、勝俣医師に解説してもらおう。

勝俣範之医師
国立がん研究センターに20年勤務した後、日本医科大学武蔵小杉病院に腫瘍内科を開設。抗がん剤治療の第一人者であり、緩和療法に精通。誤解されがちながん情報をわかりやすく解説する。