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ご存じですか?「チョコレート」を取り巻くおカネの“苦い現実”

「チョコカルテル」は成功するか
義理チョコ、友チョコ、本命チョコ…、本日のバレンタインデーでは思惑は違えど多くのチョコレートがやりとりされるだろう。しかし、そんなチョコレートの原料、カカオ豆の取引価格を巡り、いま世界で大きな動きが起きていることをご存知だろうか?
米国の投資運用会社で働いた経験があり、『マネーの代理人たち』の著書もある小出・フィッシャー・美奈氏が、チョコレートを取り巻く、決して甘くはないマネーの現実をお伝えする。

人類は5000年前からチョコレートのとりこ

ああ、今年もまた、「バレンタインデー」が来てしまうーー。

とろけるような「愛の日」が、日本のオフィスではいつのまにか女性が男性上司に「義理チョコ」や「世話チョコ」をせっせと配る日となってしまった。実は、贈る方も贈られる方も面倒だと感じている人が結構多い。最近は「虚礼廃止」で義理チョコ禁止の会社も出てきているので、ほっとしている人もいるだろう。

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国際ココア機関(ICCO)によると、世界のチョコレート小売売上は1000億ドル超。日本円で10兆円規模の一大産業で、しかも年々成長を続けている。

甘くてほろ苦い、その小さな塊を口にする時の幸せーー。チョコレートの裏側には、その一瞬の快楽のために、原料となるカカオ豆を追い求めた人類の長い歴史がある。

チョコレートを最初に味わった西洋人は、新大陸を発見したクリストファー・コロンブスで、その後メキシコ・アステカ帝国を征服したエルナン・コルテスが1528年にスペインに持ち帰って、欧州に広まったとされる。でも最近の考古学者の研究では、チョコレート発祥の地は中米のメキシコよりもっと南。現在のエクアドルのアマゾン上流地域らしい。

陶片などに残ったカカオ豆残滓のDNA解析によれば、なんと人類は今より5300年以上も昔から、チョコレートのとりこになっていたのだ。

 

カカオの木はデリケートで、きわめて限定的な環境でしか育たない。

平均気温25度〜30度、年間降雨量2000ミリ以上、湿度70〜80%という高温多湿を好む一方で、土壌は水捌けが良くなければダメ。日射を嫌い風にも弱いので、バナナなど他の木に囲まれた日陰も必要だ。花が咲いても実をつける確率は小さく、木を植えてから収穫できるまでに4、5年かかる。

こうした気象条件から、カカオ豆の産出はコートジボワールやガーナ、マダガスカル、エクアドルにインドネシアと、赤道を挟んで緯度20度以内の狭い地域に集中する。もともとカカオの木がなかったアフリカなどは、ヨーロッパ人達が植民地時代に奴隷労働を使って森林を切り開き、移植したものだ。

今では世界のカカオ豆の480万トンの6割程度が、コートジボワール(200万トン)とガーナ(88万トン)のアフリカ2カ国で生産されている。