コウモリもウイルスの被害者だ(筆者提供)

コロナウイルス感染拡大は「3月までに終結」と大御所が断言する理由

「1%の界面活性剤」噴霧で殺せます
インフルエンザウイルスが横綱なら、新型コロナウイルスはせいぜい関脇だ──。

猖獗をきわめているかに見えるウイルスだが、過剰に恐れる必要はないのか。呼吸器ウイルス感染症の大御所・根路銘
(ねろめ)国昭氏にノンフィクション作家・山根一眞がインタビューする緊急企画、後編を配信する。〈前編はこちら

コロナウイルスでインフルエンザ?

新型コロナウイルスに関する情報があふれているが、専門家ではない人たちの憶測や誤った情報も多く混じっている。

 

ワイドショーの看板である某司会者が、「コロナウイルスに感染して肺に入り、インフルエンザが発症した時に……」と口にした。ニュース番組を仕切る者ですら、インフルエンザとコロナ肺炎の違いがわからないのだから、情報が混乱しているのは当然だろう(いずれも呼吸器感染症だが、発症原因のウイルスがまったく違う)。

そこで、インフルエンザやコロナウイルスによるSARS(重症急性呼吸器症候群)、MERS(中東呼吸器症候群)との闘いを経験してきたウイルス呼吸器感染症の大御所、根路銘国昭さんに、何が正しい情報かを聞いたインタビューの後編をお届けする(前編はこちら

根路銘国昭さん根路銘国昭さん。1939年、沖縄県生まれ、北海道大学大学院中退(獣医学博士)。スペイン風邪ウイルスのルーツを解明するなど、ウイルス研究の国際的第一人者。国立感染症研究所ウイルス第一部呼吸器系ウイルス研究室長、WHO(世界保健機関)インフルエンザ・呼吸器ウイルス協力センター長を歴任。ハーバード大学国際エイズ治療評価委員、中国河北省政府技術顧問など、世界を代表するウイルス研究者として多くの業績がある。2001年、出身地の沖縄で生物資源利用研究所を創立し、抗ウイルス作用をもつ植物の研究開発に取り組んでいる。『インフルエンザ大流行の謎』(NHKブックス)など著書多数。内外で発表した論文は約250件

ハクビシンもコウモリも被害者

山根 2020年2月3日、上海公衆衛生臨床センターや復旦大学公衆衛生学部などが科学誌「nature」に、重度の呼吸症候群を発症した武漢の食品市場就労者から得たコロナウイルスのゲノム(RNA遺伝子、2万9903ヌクレオチド)の解析結果を論文にして発表しましたね。

以前に中国のコウモリで確認されたSARS様コロナウイルスと、89.1%の共通点があったという内容です。このニュースを受けて、SNSでは「コウモリを食べたから感染が広がったんだ」と書く者も出ました。

コウモリ山根一眞所蔵のコウモリ標本(東南アジア産)。コウモリは哺乳類で世界に約1000種が生息し、哺乳類の4分の1を占める。ヒトと同じ哺乳類であるため共通のコロナウイルスを持つことは不思議ではない。夕方の東京・日比谷でも飛翔する姿が見られるほど身近な動物だ

根路銘 コウモリはコロナウイルスを媒介しているにすぎず、新型コロナウイルスの元の宿主は他の野生動物です。2003年12月、コロナウイルスによるSARSの感染拡大時、中国当局はハクビシン(ジャコウネコ科)にSARSウイルスとほぼ同じウイルスが見つかったとして、広東省の食品市場などでのハクビシンの殺傷を実行しています。

ハクビシン身を寄せあって暖をとるハクビシン Photo by Getty Images

たまたま、ヒトに感染したSARSウイルスの塩基(遺伝情報を担う化学物質)数が、ハクビシに感染したコロナウイルスと29違うだけでとても似ていたんです。

しかし、ハクビシンにSARSウイルスが入ったのはごく数年前のことで、SARSはハクビシンから始まったものではなかったようです。

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