コロナウイルス感染拡大は「3月までに終結」と大御所が断言する理由

「1%の界面活性剤」噴霧で殺せます
山根 一眞 プロフィール

これらのウイルスは、何らかの動物に長い時間潜み続け、出撃の準備(変異)を整えて、動物やヒトへの感染を開始するものなんです。科学誌「nature」には、最近まで人間に流行してきたウイルスを、たった1mmほどの小さな昆虫が多く保存していることを明らかにした論文が発表されています。

ウイルスはこうやって生物の中に潜み、何らかの意志をもって自らの生き残り策を考えているとしか思えない。私たちは、数十億年の進化の歴史を辿ってきたウイルスのことを、まだほんの一部しか理解していないんです。

感染者の閉じ込めはウイルス培養と同じだ

山根 武漢では、感染を拡げないために感染者や肺炎を発症した患者を病院の隔離病棟に閉じ込める策をとってきましたが、効果は期待できますか?

 

根路銘 いや、閉鎖した空間、隔離病棟に閉じ込めたのは大きなミスです。閉鎖した空間に感染者や発症者を閉じ込めるのでは、ウイルスを培養しているのに等しい。これは、大きな間違いです。

2月7日、武漢大学中南医院の医療チーム14人が連名で、米医学雑誌「JAMA」のオンライン版に、「40人の医療専門家と17人の入院患者は院内感染が疑われる」という正直な報告を投稿しましたね。閉鎖した病院が爆発的な感染の元になったことを物語っています。私が早くから指摘していた通りでした。

武漢大学中南医院武漢大学中南医院 Photo by Zhangmoon618

山根 病院では、院内感染を防ぐためにどういう対処をすべきだった?

根路銘 病院の窓を全部開け放ち、扇風機でも使って室内の空気を外に排出し、ウイルスを追い出せばよかった。窓を開けて「鬼は外!」が最良の方策だったんです。

空気中に長時間浮遊し「空気感染」するインフルエンザウイルスと違い、コロナウイルスは「飛沫感染」しかしない。しかもコロナウイルスは、空気中で1~2メートルも飛べば死滅します。

2003年、SARSが大きな流行を見せたベトナム・ハノイの病院では、病院の窓という窓を開け放ち、扇風機で室内の空気を外へ送り出し、SARSウイルスを空へ放つという思い切った方策をとりました。これによりベトナムは流行終結宣言を出せたんです。実に敬服すべき措置でした。

香港では、高層ビル内のエレベーターが、SARS感染者のウイルスを複数の人に拡散させる「スーパー・スプレッダー」となり大流行が起こったんですが、これはベトナムでウイルスを「鬼は外!」で克服したサクセスストーリーとは対象的でした。

SARSを克服したハノイのB病院

根路銘 この意外だが思い切ったコロナウイルスとの戦い方は、2004年2月、重要な教訓として米国の国立生物工学情報センターに記録されました(「Lack of SARS Transmission among Public Hospital Workers, Vietnam」)。

SARS2003年、ハノイの病院での除染作業 Photo by Getty Images

それには、SARSを克服できなかったA病院と克服したB病院の対応の違いとして、「A病院は空調のある狭い病室に感染者を閉じ込めていたが、B病院のSARS隔離病棟は高い天井と天井扇風機を備えた大きく広々とした部屋で、通風のために窓を大きく開いておくよう指示をしていた」と記録しているんです。

これまでのウイルスによる呼吸器感染症では、病院が感染拡大の元となったケースが少なくないという教訓も忘れてはいけません。