広島・遠藤“千賀アドバイス”のウラにあった「斉藤和巳の教え」

脈々と受け継がれる投球術
二宮 清純 プロフィール

迷走していた斉藤を救った「教え」

まだ勝ち星に恵まれなかった頃の話です。斉藤さんは先輩の武田一浩さんに「どうしたらストライクが入るようになるんですか?」と聞きました。

スリークウォーターからセンチ単位でボールを出し入れしていた武田さんは、「どうせストライクが入らないんだったら、キャッチャーミットからいったん目を切ってみろ!」とアドバイスしました。

通常、コーチはコントロールの悪い投手に対し、「ミットをよく見ろ」と指示します。しかし武田さんの教えはこの逆でした。

果たして、この教えは、迷路の中をさまよっていた斉藤さんにとって吉と出ました。

 

足を上げた時。三塁後方のスタンドを漠然と見るようにしました。それでフォームのバランスがよくなった。要するに目線の位置を一定にすることで真っすぐ立てるようになったんです。

ピッチャーにとって、一番マズイのは目線が揺れること。目線が揺れるとコントロールも乱れてしまう。その時の状態に応じて目線の角度を変え、バランスを取ることを覚えてからコントロールが安定し始めました。

武田さんには『突っ込むのが早い』とよく指摘されました。投げ急ぐクセを矯正するために『左足が(地面に)着くまでは、ずっと三塁方向見ていろ』と。これによって悪い部分が改善されたんです

2003年に20勝をあげ、以降ホークスのエースとして活躍するのは、ご存知の通りです。

推測するに、千賀投手に自らの経験を伝えたのは斉藤さんかもしれません。それが巡り巡って広島の遠藤投手へ……。交流戦のソフトバンク戦で成長した姿を見せることこそが、千賀投手に対する最大の恩返しと言えるのではないでしょうか。

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