提供:コープこうべ

2021年に創立100周年を迎えるコープこうべは、長い歴史のなかで、組合員(コープこうべ会員)とともに、豊かな暮らしづくりに取り組んできました。子ども食堂への食材支援とコープでんきの事業を通して、彼らが目指す未来のビジョンを探ります。

食べ物の廃棄を少しでも減らし、
必要としている人たちに届ける

地球上には飢餓に苦しむ人々がいる、ここ日本にも満足な食事を摂ることが困難な人がいる。その一方で、食料の大量廃棄も深刻な社会問題だ。こうした矛盾した状況を少しでも解消するため、生活協同組合コープこうべではフードドライブを開始した。フードドライブとは、お中元やお歳暮で受け取ったけれど余らせてしまった食品や、賞味期限までに消費できない備蓄品など、食べきれない食品を店舗で受けつけ、必要としている人に届ける取り組みである。

料理をつくっているのは地域のボランティアスタッフ。地元の学生も多数参加。おいしい食事が食べられることはもちろん、人とつながれるあたたかい場所として、地域の人に愛されている。
店舗で売り場に出せなくなってしまう商品は日によって違うので、種類も様々な食材が寄付される。

コープの店舗でも、なんらかの理由で店頭には並べられない商品がどうしても出てしまう。このようなまだ食べられる食品を廃棄せず、一部を子ども食堂や生活困窮者の支援団体へ寄付している。神戸市にあるコープこうべの店舗、コープ甲南では店頭に並べられなくなった商品を、近くで子ども食堂を運営するNPO法人ケアットに寄付している。子ども食堂が開く毎週金曜日になると、スタッフが店舗に商品を受け取りにやってくる。日によって量や内容はさまざまだが、この商品を使った食事が子どもたちに提供される。

子ども食堂で、食事のルールやマナーを学ぶ子も多い。

子ども食堂を運営するNPO法人ケアット理事長の岡本芳江さんに話を聞いた。

「コープ甲南からいただいた食料だけで運営できるわけではないのですが、協力していただけることがありがたいです。寄付していただいた食材のなかには、桃やカニなどの食材が入っていることもあります。子ども食堂にきてくれる子のなかにはそういったものを食べたことがない子たちもいます。『食べたことがある』という体験ができることが、彼らがこれから生きていくなかで重要になるのです」

広々した店内はおしゃれで明るい雰囲気。

食品ロスを減らす運動が、子どもたちの笑顔にもつながっている。一歩を踏み出したことで、良い循環が生まれる好例だろう。

さつまいもの収穫祭で
電気の生まれ方を知る

畑の上に取り付けられたソーラーパネル。ソーラーシェアリングをしている市民農園は全国的にもまだ珍しい。農業を守りながら、発電もできる画期的な取り組みだという。

コープこうべでは家庭に電気を供給する「コープでんき」も展開している。以前は組合員に灯油を届ける事業もしていたコープだからこそ、生活必需品を届ける使命において、電力事業を展開することも不思議ではない。コープこうべでは、再生可能エネルギーを使った電気の供給割合を増やしていきたいと考えている。

井上さんの発電の講座。参加者はとれたてのさつまいもの味見をしながら、耳を傾けていた。

その電力の一部は、宝塚市を中心に市民発電所を運営する(株)宝塚すみれ発電でつくられたものだ。こちらでは農地で太陽光発電をする、ソーラーシェアリングも行っている。作物を育てながら発電もできる新しい農業の形として、近年注目されている取り組みだ。その宝塚すみれ発電所第4号は、ソーラーパネルの下に市民農園がある。コープこうべでは組合員から参加者を募り、その市民農園で春に苗を植え付け、夏には草刈りをしてさつまいもを育てていた。今日はいよいよ、その収穫。多くの組合員が集まり、たくさんのさつまいもを収穫した。自分たちで育てたとれたてのさつまいもの味見をして笑顔を浮かべる組合員たち。イベントの最後には、宝塚すみれ発電の代表である井上保子さんから再生可能エネルギーについての講座があった。楽しく作物を育てる体験をしながら、電気についても学べる機会になった。

家族で参加していた組合員も多かった。

コープでんきが大切にしているのは、「コンセントの向こう側」を考えること。スイッチを押せば電気がつくことが当たり前と思っていた人が、電気をつくる現場に触れることで、いつも使っている電気は誰がどのようにつくり、誰が供給しているのかと考えるようになる。電気を無駄に使うことにも抵抗を覚えるようになるかもしれない。

この日収穫したさつまいもは冬の料理イベントで使用される。

コープこうべの電気の供給量を考えると、宝塚すみれ発電からの電気の量はわずかかもしれない。しかし、このような取り組みをしている団体の電気を供給している事実が、意味のあることだとコープこうべの職員は語った。

生活協同組合コープこうべの取り組み

1921年に発足したコープこうべ。兵庫県全域と大阪府北部を主な活動区域として、今では約170万人の組合員がいる。宅配、店舗を中心に安全安心な食材や、生活必需品を提供することはもちろん、福祉活動、環境活動、学びや交流の場をつくる活動にも力を入れている。コープこうべの環境への取り組みは40年以上前からはじまっていた。

1978年にはすでに買い物袋再利用運動をスタートした。現在ではスタンダードな運動を先駆けてはじめていたのだ。今では店舗に買い物にくる組合員のうち、9割がマイバッグを持参しているという。今回取り上げた活動のほかにも、「エシカルなお買い物」を提案している。例えば、取り扱っている商品は品質や値段だけでなく、誰がどんな環境でつくったのか、それが捨てられた後はどうなるのかを、売り場でポップを掲げる、広報誌で商品を説明するなどして一つの商品に対していろいろな視点を持てるように工夫している。あまり関心がなかった人も、毎日の買い物を通して意識するようになっていく。

コープこうべは「知る」という一歩を与えてくれるプラットフォームとしても機能している。もうすぐ迎える100年という節目を機に、地域がどんな町になっていれば、どんな環境になっていればもっと豊かに暮らせるのか。コープこうべと組合員は、一緒に考えながら行動していく。

【お問い合わせ】
コープこうべ くらしの情報センター
☎0120-44-3100(火~金8:30~19:30、土~月8:30~18:00)

      

提供:コープこうべ

●情報は、FRaU2020年1月号発売時点のものです。
Photo:Masanori Kaneshita Text & Edit:Saki Miyahara